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高齢者の自動車事故について

高齢者の運転による死亡事故のニュースが続いています。警視庁の統計では高齢運転者が関与する交通事故の割合は増加傾向にあるようです。2001年以降、認知症の方が自動車事故を起こさないための様々な対策が実施され、2017年3月からはさらなる対策強化として改正道路交通法が施工されています。当クリニックにも運転免許センターから診断書の提出を求められて来院される方が最近増えています。しかし、そういった対策が行われている現在もまだ高齢者の自動車事故による胸が締め付けられるような悲痛な事故が起こっております。2019年4月19日、東京都で80代の方が運転する車にはねられ、31歳の母親と3歳の娘さんがお亡くなりになりました。遺族の方は、自分たちのような悲しい思いをする人が絶対出ないように、今後同様の事故がなくなることを望み、家族の写真を公開しました。
「必死に生きていた若い女性と、たった3年しか生きられなかった命があったんだということを現実的に感じていただきたいです。現実的に感じていただければ、運転に不安があることを自覚したうえでの運転や、飲酒運転、あおり運転、運転中の携帯電話の使用などの危険運転をしそうになった時、亡くなった2人を思い出し、思いとどまってくれるかもしれない。そうすれば、亡くならなくていい人が、亡くならずにすむかもしれない。そう思ったのです。」
私も普段の診療の中で、患者様やその家族様から、「運転できなくなると困る。生活ができない。生きがいがなくなる。運転できないなら死んだ方がましだ」、「まだうちは大丈夫だと思う。運転しなくなると私たち家族も大変」という声を聞きます。
運転ができなくなるというのは、地方に住んでいると確かにとても困ることです。しかし、これらが亡くならなくてよかった人が、突然亡くなってもいいという理由として相応しいものでしょうか。

人は誰であっても、健康な人でも若い人でも車の事故を起こす可能性があります。絶対にゼロにすることはできないという前提の中で、ある条件で安全ではないと考えられる人の運転は禁止されています。全く健康な若者であっても運転免許の試験に合格しない人、年齢が足りず試験を受けられない人、目の不自由な人、手足の動きに障害がある人、てんかんのある方で最後の発作から2年以上経過していない人、正確には様々な条件がありますが、概ねこのような方々の運転は禁止されています。現在は、認知症の人も同じように自動車の運転は禁止されています。認知症の方が難しいのは、その判定です。徐々に知らない間に認知症になっていくことが多いのです。初めは少しの物忘れ程度、歳のせいかと思っているうちに徐々に進行し、ある時点ではっきりとした診断に至ります。少しずつ知らない間に現れる認知症に気づくことができるのはご家族です。本人にとっては気づいていても認めたくないと思うのがごく自然なことです。
どうかご家族の方には、自分の家族が自動車事故の加害者にならないように、また亡くなるはずのなかった若い命、幼い命が奪われることのないように今一度ご一考いただければ幸いです。

認知症疾患医療センター連携型
医療法人社団川瀬神経内科クリニック院長
川瀬裕士