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認魂レポート

第11回テーマ : 「多弁多動にどう対応するか?」   

参加者:
【介護職】布施良友6 楠崇晴3 白井晃幸4 原島哲志6 高橋芳雄6 庄司俊彦6
【介護支援専門員】山田真理2 渡辺美佳子6 佐藤豊子5
【作業療法士】川瀬敦士6 山下修平1
【看護師】坂井美和子6
【医師】川瀬裕士6

介護職・・・以下「介」   介護支援専門員・・・以下「CM」
作業療法士・・・以下「リハ」  看護師・・・以下「看」

1)介護老人保健施設いっぷく2番館(以下「老健」)
2)SOMPOケア三条居宅介護支援(以下「居宅A」)
3)グループホーム白山町(以下「GH-A」)
4)グループホーム「楽楽」(以下「GH-B」)
5)居宅介護支援事業所 長和園(以下「居宅B」)
6)川瀬神経内科クリニック、ディケア樫の森・かわせみ、本成寺安心住宅かえるハウス(以下「川瀬」)

 


 

氏  名(所属・職種)
川瀬敦士(川瀬・リハ) 11回認魂研修会を始めます。本日のテーマは「多弁多動にどう対応するか?」です。司会をさせていただきます川瀬神経内科クリニックの川瀬と申します。では初めに当院院長より認魂の会の目的についてお話させていただきます。

川瀬神経内科クリニック 作業療法士 川瀬敦士 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) 今回11回目ですね。この三条を中心とした県央地域の介護や認知症に携わる職種の方々に集まっていただいて、毎回テーマを決めてどういう風に対応したらいいのか、という具体的な対応策を話し合って、最終的にはBPSD*1に対してご家庭あるいは介護施設の皆さんが、薬を使わないで上手く対応するためのいくつかの選択肢を提示したいという目的で始めた会です。今回はどのようなテーマにしようかなということでいくつか考えた中で、同じ行動を繰り返して止められないとか、それに伴って介護の手間が掛かり、あるいは介護者のストレスが増えるようなことがあるのではないのかということで、「多弁多動にどう対応するか?」にしました。それほど頻繁にみられるものではないのかもしれないですけれども、テーマの意味を広くとっていただいて良いので、皆さんの意見を聞いてみたいです。よろしくお願いします。

川瀬神経内科クリニック 医師 川瀬裕士 氏

川瀬敦士 では早速ですが多弁多動ということで、多弁とは要はよくしゃべるということですよね。それは認知症の人に限らず、「あの人多弁だね」というような人もいますよね。多動というのは小児の行動障害の一つでもあります。では認知症の多弁多動とはどういうことかというと、皆さん想像がつくかもしれませんが、浦上克哉先生の書籍では、“BPSDの一つとして不必要に動き回ったり、しゃべったりする”(あなたのもの忘れ、「いわゆるボケ」ですか「認知症」ですか? 浦上克哉 徳間書店)という風に端的に説明されています。この不必要というところがポイントで、おそらく周りの人にとって不必要。だからこれを紐解いていくと本人にとっては必要なことかもしれないというところに議論が行くと思います。具体的にどんなものが想像できるか見てみましょう。(図1

1 「認知症の行動と心理症状」を表わす英語、「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の略語。暴言や暴力、興奮、抑うつ、不眠、昼夜逆転、幻覚、妄想、せん妄、徘徊、もの取られ妄想、弄便、失禁など周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状

図 : 多弁多動の具体的な事例

・何度も同じ話をする
・食事途中で席を立ってしまう
・部屋の中や廊下を行ったり来たりする
・テーブルを叩く
・自分の膝をさすり続ける
・洗顔を繰り返す

 

何度も同じ話をする。記憶障害がありますから、さっき話したことを忘れてしまっていて本人にとっては初めてのことのように話をするということです。食事の途中で席を立ってしまう。見当識障害があれば今お昼の時間で食事を食べる場面だということが理解できないのかもしれませんし、あるいは抑制が効かなくなって易刺激性とも言われていますけど、周りのちょっとした変化に反応してしまって動いてしまう。そういったようなことがあるのかもしれません。また徘徊という言葉もありますが部屋の中を行ったり来たり歩き続けることがあります。テーブルを叩く。これはなぜやっているのでしょうか。何かを訴えているのでしょうか。自分の膝をさすり続ける。これは私も認知症の検査をさせていただく時に対面でやっていますと、ずっとこすっていらっしゃる方がいます。これは不安感とか緊張感とか何かの表れなのでしょうか。またある行為を繰り返すと。洗顔を繰り返す。タンスの中の物を出してしまう。というのもご家族の声から聞かれます。もう一つ、似たようなもので常同行動というものがあります。(図2)

図 : 常同行動

・前頭側頭型認知症に特徴的
・同じ行動を繰り返さなければ気が済まず
・徘徊ならぬ周回
・字を書き出す
・こみを拾って歩く
・一つのことに打ち込み時に素晴らしい作業を成し遂げることも

 

常同行動の中には、プラス方面として表れることもあるようで、そういう事例を知っている方がいたらぜひ紹介して頂きたいなと思います。では本人の気持ちです。(図3

図 : 本人の気持ち

・〇〇しなくちゃ
(背景にはやらずにはいられない気持ち、きれい好き、働き者、時間に几帳面)
・なんで止めるの?
・無意識にしている(背景には不安感、焦燥感、不快感・・・)

 

本人にとっては不必要ではないですよね、「○○しなくちゃ」と必要なこととしてやっている行動ということも考えられると思います。その背景にはごみを拾うのであればきれい好きだとか、そういった性格が影響していたり、また時間に几帳面な人は何度も何度も時間を確認したがる人もいるかと思います。またそういった人を止めても理解が出来ないから不安になり混乱して時には暴言暴力といったところに行きつく場合もあるのかもしれません。また無意識にしていることは、言葉で発して説明することが難しくなっている方々だと思うので、痛い・寒い・お腹空いた・トイレに行きたいとか、そういった表れなのかもしれません。次に介護者の気持ちとしては、このようなことが考えられます。(図4

図 : 介護者の気持ち

・なぜするの?
・なぜ繰り返すの?
・止めてほしい
・疲れて倒れないか心配
・周りも落ち着かない
・手がかかる

 

多弁多動に対応することの意義を考えます。(図5

図 : 多弁多動に対することの意義

・困った行動から喜ばれる行動へ変換させることで
→本人が自己効力感を得る機会になる
→本人と周囲との関係性の改善
・止める対応から受け入れる対応をすることで
→介護者の人間観の広がり
→介護ストレスの軽減

 

「役割の喪失」と認知症の方はよく言われていますが、ある行動を良い結果に結びつけることができれば達成感や自己効力感を得られると思いますし、また周囲との関係性の改善という意味でも対応することの意義があると思います。もう一つは介護側の視点かと思いますが止める対応から受け入れる対応をすることで人間観の広がりや、介護ストレスの軽減にも繋がるのではないかということだと思います。2つの書籍を紹介したいと思います。(図6

図 : 書籍紹介

楽になる認知症ケアのコツ

山口保穂 技術評論社

 

新しい認知症ケア

三好春樹 講談社

 

多弁・多動…時間を気にする、怒る

川瀬敦士(川瀬・リハ) では最初のケースですね。布施さんお願いします。

布施良友(川瀬・介) 70代男性要介護1、認知症と脳出血の既往がある方です。まず多弁の方ですが、本人の中でタイムスケジュールというものがありまして「10時からは体操の時間だよ。11時からは○○の時間だよ」とずっと常に声を出している方です。その声出しの確認に他者(スタッフ)の反応がないと「帰るぞ!」と怒り声を上げ、他の方もびっくりしてしまうことがあります。「10時からは○○の時間だよ」と言うのも、9時を過ぎると1分ごとに何回も言われるので周りの方もうんざりしており、どうしようかなというような感じです。多動の方では、お茶を自分で入れに行くのですが、手つかずの湯呑が2個、3個とだんだんテーブル周りに増えていきまして、下げると「下げんじゃねーよ」と言われるので、本人がいなくなったら整理させてもらうような状況です。介護サービスを使う前は家の近所をよく歩いていたのですが、ここ12年くらいは外には出ず、家の中ではあまり動かないし、家の中でのタイムスケジュールの確認というのが頻繁で、奥様と二人暮らしなので奥様も疲れが溜まっており、怒り声も上げるので奥様もどうしたものかと困っているということで事例を挙 げさせて頂きました。

川瀬神経内科クリニック 介護職 布施良友 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) ケアマネAさんの担当の方ですよね。存在感のある方ですよね。この方は常に怒っているような方ですよね。

ケアマネA そうです。

川瀬敦士 脳出血と言っていましたが麻痺とかはどうなのかな。

布施良友(川瀬・介) 麻痺はないですが、すり足歩行になっています。最近は言葉も聞き取りづらく、もごもごした感じでしゃべられるので、なおさら聞き返すとさらに怒ります。なのでデイでは決まった言葉しか言わないので、相槌とかで対応させてもらっています。

川瀬敦士 前頭側頭型認知症とかではないのですね?

川瀬裕士(川瀬・医師) 最近、私が主治医になりましたよね?

ケアマネA そうです。

川瀬裕士 実際に治療薬を変え始めたのが秋くらいからだと思うけど。その前にまずは薬を使わずにどうするか?ということですね。

小林英夫(製薬会社) 結構周りの方がびっくりするくらい大きな声ですか?

布施良友 そうですね。

川瀬敦士 どんな感じで言うのですか?

布施良友 例えばこの声出しに反応がないと「帰るぞ!」とか「もう来ないわ!」とか。

川瀬裕士 もとは何をやっていた人ですか?

ケアマネA 会社の一番偉い方でした。定年まで。

川瀬裕士 もとの職での雰囲気とか、その人の性格を知りたい気もするけど。

ケアマネA 几帳面な方で、自分の中のスケジュール通りに行かないと怒ってしまいます。朝ご飯を食べる時間も、7時から食べるのを、6時から、5時からとどんどん早くなっています。本人の中では次に行う予定が3時間後に設定されるようで、朝ご飯を6時に食べたら、その3時間後に「お昼ご飯は?」と奥さんに繰り返し聞き、「いやまだお昼じゃない、10時だから」と奥さんが説明しても聞かない。どんどん予定が早くなっていくので、下手すると3時か4時くらいに夕飯を食べて寝てしまいます。

川瀬敦士 事実と違う時間の中でもいいわけだ。

ケアマネA はい。次のスケジュールをこなせば、またさらに次になるので。本当の12時とかのお昼ではなくて、今のスケジュールが終わったら次のスケジュールにいくまでがどんどん狭くなっていって、夕飯がたとえ34時であろうとも奥さんが要求を聞いてしまうと寝てしまう。そこで1日が終わるらしいです。

山下修平(老健・リハ) 早く寝たら次は何時に起きるのですか?

介護老人保健施設いっぷく2番館 作業療法士 山下修平 氏

ケアマネA 奥さんが寝ようとするような時間にごそごそと起きてきて、奥さんは寝られなくてなおさら神経質になってしまう。デイケアのかわせみさんに行ってくれるとちょっと助かるというくらいです。

山田真理(居宅A・CM) そのタイムスケジュールは、周りの人が、別のスケジュールを組み込ませることは出来ないのですか?

SOMPOケア三条居宅介護支援事業 介護支援専門員 山田真理 氏

ケアマネA それをするとかなり怒ります。

山田真理 例えば、お昼を食べて、その3時間後にまた次のスケジュールが夕飯なら、夕飯じゃなくておやつという形にはならないのかなと思って。

ケアマネA 家にいる時は、以前は1日に何回も散歩に出ていたのですが、最近は体重が増えて歩くのに自信がなくなり散歩に行かなくなってしまいました。散歩に行かないので、自分の中のスケジュールが空いてしまい自分ではどうしようもなくて、奥さんにずっとイライラをぶつけている。デイケアかわせみの布施さんたちには、常に週3回会っているので面倒をみてくれているという感覚が本人にはあって好意的です。布施さんが来るとニコニコして対応してくれるのですが、一月に一回しか行かない私だと「早く帰れ!」と言って戸をバシーンと閉めるという状態が毎月あります。

川瀬裕士(川瀬・医師) 臨床症状的には前頭側頭型認知症っぽいですね。もう一度脳の画像を見てみないと分かりませんが、脳出血がどこにどんな感じであるのかもあるんだけど。そもそも脳出血を起こす方って、もともとベースに高血圧があるから、広範に白質病変というものがあるのかもしれない。脳出血などの脳血管障害が多いと、ベースの認知症が、アルツハイマー型認知症なのか前頭側頭型認知症なのか分かりづらくなる。怒っていることはいかにも前頭側頭型認知症っぽくなっている。今回のテーマである多弁多動・常同行動の典型例ですね。それに対する薬っていうのがいくつかあるけれども、そんなに効かない。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 家では時間がどんどんどんどん前倒しになっていくと。

ケアマネA はい。先生に薬の調整をしてもらってから、奥さんの買い物について行くって言い始めたけれども、奥さんが店を回っている時に「俺は行かない」と言って暑い夏でも寒い冬でも車の中にいたので、奥さんはおちおち買い物さえも出来なくなったというのがありました。奥さんに対して、上から押さえつけるような指示をする言い方になるんですよ。他人になるとそれはなくなって、奥さんは全部言う事を聞くのが当たり前だっていうご家庭らしいのですが。1日中デイがない日は指示的な威圧的な状態が続いていて、ちょっとでもいなくなると、「どこ行ったんだ!」という大きな声が外にも聞こえていて、外で本人がいないところでこそこそしゃべっていると、大きい声が外まで聞こえてくるっていう状況です。それは次の自分のスケジュールを奥さんがこなさないことに対して、邪魔者が来ているという感覚で「早く帰れ!」っていう状態があって。「他の人でもそうですか?」と聞くと「いや、ケアマネAさんにだけ怒るんです」と言われるので。1回ショートステイを使ってもらおうと計画を立てたのがかなり気に入らなくて、それをずっと覚えていて「いつも通りの予定じゃないと俺はダメだからな。いつも通りなんだろうな」というのをずっと言われています。

川瀬敦士(川瀬・リハ) そのショートステイの予定が本人にとってはイレギュラーなことになってしまったんですね。

ケアマネA はい。デイケアかわせみさん以外のところを使わせようとして企んでいるのではないのかというような感じで常に「帰れ、早く帰れ」と言われます。

川瀬裕士(川瀬・医師) 前頭側頭型認知症として典型的ですね。外ではきちっと良い人みたいだけど帰ったらすごい、みたいな。

ケアマネA そういう感じで。

川瀬敦士 どうしたらいいですかね。楠さん。質問とかでも。

楠崇晴(GH-A・介) ADL*2的にはどんな感じですか?

2 「日常生活動作」を表わす英語、「activities of daily living」の略語。起床から着替え、移動、食事、トイレ、入浴など日常的に発生する動作

グループホーム白山町 介護職 楠 崇晴 氏

ケアマネA 今、体重が増えてしまって、すり足がなおさらすり足になって。排泄面は年を追うごとに悪くなってきてはいますが、基本自分のことは自分で出来るADLです。

川瀬敦士 布施さん、普段デイケアで関わっていてどうですか。

布施良友(川瀬・介) 相槌を打つ分には、本人も納得してそんなに怒り声を挙げないです。でもイレギュラー、時間がちょっとずれたりすると。昨日もカラオケだったんですけど、カラオケの曲の聞き取りが間に合わなかったら、雑誌を投げたりしているので、誰かしらスタッフが見ていてしゃべったら返事をするといった感じで。あと絵が上手なので、今までは広報誌に挿絵として提供してもらっていた分には本人が喜んで持って来てくれました。他の人に見せて褒められるのは嬉しいみたいなので、特に女性のちょっと弱々しい方に褒められるとすごく喜ぶ感じがあるので、まずはそっちに見せて褒めてもらったりしていました。

川瀬裕士 待遇、接し方は分かっているのですね。

川瀬敦士 ケアマネAさんもその作品を見せてもらって、それを話題に切れ込んでは?

ケアマネA 本当に絵が上手で、最初の頃、絵の話題を振ると嬉しそうに奥から絵を持ってきて、「これはな、俺が書いたんだ」と言って見せてくれていましたけど、ショートを計画した後からダメですね。

川瀬敦士 そういう風に被害的に捉えちゃう人はいると思いますが。家族とのお話しも、家でやらなくても施設とかでできないものですかね。例えばデイケアかわせみに来た時に、ご家族にも同行してもらってそこでやるとか。ケアマネさんの立場から何かありますか。嫌われてしまった時にどうするか。やっぱり相性ってありますよね、人間だから。

渡辺美佳子(川瀬・CM) まずそこもありますよね。でも最初はケアマネAさんとも良好な関係だったので。

川瀬神経内科クリニック 介護支援専門員 渡辺美佳子 氏

ケアマネA ご本人が私の所属する事業所をあまりよく思っていなかったようで、「なんでお前が来るんだ」と言われたこともありました。川瀬先生の受診まで持っていって、川瀬先生のところのデイケアに移行することが出来たところまでは良かったんですよ。関係性は良くなっていたのですが、自分は泊まりに行く必要がないのに、奥さんがヘトヘトになっていたり、怪我をさせられたというのもあって、奥さんから「ショートに泊まってほしいんだ」というのをずっと言われていたので、本人に内緒でショートの担当者会議を開こうとしたら、本人が気づいて「なんでそんなことをするんだ!」と。全部私の策略だと受け取ったらしくて、そういう関係性になってしまいました。

川瀬裕士(川瀬・医師) MMSE3は何点ですか?

 3 「Mini Mental State Examination」の略語。10~15分程度の短い時間で認知機能の障害があるかどうかを調べる検査

ケアマネA そんなに低くはないです。

布施良友(川瀬・介) 記憶力は良いですよね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ショートステイを計画したのも悪気はないのだけれどもっていう。

坂井美和子(川瀬・看) そのショートの計画をしたのはいつ頃の話ですか?

川瀬神経内科クリニック 看護師 坂井美和子 氏

ケアマネA かれこれ34年は経っています。

坂井美和子 34年も前からずっとそれが続いているわけですか。

ケアマネA 常に行くと短いので。行ってご機嫌を取ろうとするけれども、「早く帰れよ。早く帰れよ」って言われ続けながら奥さんとこそこそ話していると、「俺のことしゃべってんだろ!」って怒鳴り声が聞こえてきて、「いやいや、そんなことないですよ」って言うとまたうろうろし始めて、周回して戸をバシャーンと閉める。

川瀬裕士 そんなに外来で苦労しているっていう風なイメージがなかったから、奥さんがあんまり言わないんだね。諦めているのかもしれないね。これはダメだと思って。

川瀬敦士 3回しか通リハに参加していませんが、もうちょっとそういう時間って作れそうですか?ショートは無理でも通リハは出来たわけじゃないですか。

布施良友 ただ、よそのデイと2カ所っていうのは本人がまだ納得できないと思います。川瀬以外の通リハは厳しいですね。本人がテレビはNHKしか見ない。他の曜日の利用者さんは絶対他のチャンネルが良くて、NHKはダメだっていうバトルがありましたので。

川瀬敦士(川瀬・リハ) テレビくらいならなんとかならないのかね。

川瀬裕士(川瀬・医師) この方はデイケアかわせみに来ていて、他の人とトラブルになったりするのは上手に対応できている?他にもありそうな気がするけど。

布施良友(川瀬・介) 今のところ怒るタイプの利用者さんがあまりいなくて、今までいた場合はだんだん体力的にも落ちてきて元気がなくなってきてバトル自体がなくなって自然となじんでいきますけど、この方は元気なので。

川瀬敦士 デイケアかわせみは上手くいっているわけだからね。その回数を増やせればいいけど。他のデイサービスとか他の事業所はダメなんですか?

ケアマネA 「他のサービスを入れるな」っていうのを毎月ずっと言われ続けています。

川瀬敦士 ご家族は今後どうなってほしいとか思いはありますか?

ケアマネA 前の先生の時に病院に入院してもらいたいというところまでお願いしたんです。「廃人になってもいいのか」と先生に言われて、さすがにご家族とすると廃人になるのは可哀想だっていうことで。薬漬けっていう意味合いで。でも「私が我慢すればいいことだから」っていうことで、とりあえずお薬は調整してもらいながらもデイケアかわせみさんを使って、このまま何とか私が元気なうちはって。

川瀬敦士 本人がそういった状況になるよりはということですかね。デイケアかわせみでも週3回は、現場で困り切っているという状況ではないわけだ。そうなるとあとはケアマネAさんとの関係性をどうするかというところだけれども。例えば担当を変えるとか、あとはさっきも言ったけれども、ご自宅に行って何かするのではなくて、もっと見えないところで動けたりすることはないのかとか。今差し迫ってプランを変えるということでなければ、関係性を取り戻したいというのはこっちの思いでもあるわけだけれども。

ケアマネA 今体重がどんどん増えています。以前は、14回くらい散歩に出ていて、体重は維持できていたのだけれども、歩くことに自信がなくなってしまって今は散歩に行かなくなった。ご本人は慎重な方なので「散歩なんか行って俺転んだらどうするんだや」という理由がある。奥さんは、散歩に出てくれているとそれだけでもご本人も気分がすっきりするらしく怒るのも少なくなるので、散歩に行って欲しいのだけれども、散歩に行って健康的になってくれればと。リハビリで改善できればと思っています。

川瀬敦士 なるほど。どうですか、リハビリの専門家。

山下修平(老健・リハ) よく来るパターンです。認知の強い方で「運動をなんとかしてくれないか」という方はよく来るのですけれども、正直、通所系の介護保険下のサービスで痩せられるほどは時間がとれないっていうのはありますね。運動量の問題で、20分前後で賄えるかという部分があるので、それだと食生活のほうをなんとかするしかないのかなっていうのが正直なところです。一時筋力アップだけさせて本人を歩ける気にさせてちょっと歩かせて軌道にのったところで自主練的に促すっていうのはいけますけど。

ケアマネA 自信を取り戻してもらえると後は自動的に自分1人で行かれると思うんですよ。

山下修平(老健・リハ) そこを当施設だと室内を使うことがよくあるので、一時筋力訓練をすると特に男性の頑固な方も発散することも含めて喜ばれる傾向があるので、そうするとその後の動きだしが楽になりますよね。循環もそこそこ良くなったりもするので、そこで最初調子を上げてあげて、褒めてあげて。

川瀬裕士(川瀬・医師) まだ70代だからね、いける気がするけどね。80歳以下だったら身体機能も戻せるだろうし、たぶん食は甘いもの好きになっちゃうんだよね。薬もいろいろあるんだけど。ルームランナー系は?

山下修平 どうなんでしょうかね。長い距離続けられるものなんでしょうかね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) この人なら続けられるかもしれないけど。

ケアマネA 歩くということには意欲があるんですけど自信がない。

川瀬裕士 たしかに食べたいのを抑えるのが難しいのであれば、ある程度の運動量が必要ですね。元々結構な運動量があって健康が維持できていたと思うからね。そもそも外に歩きに行かせて良いのかというところが前提としてあります。出来れば掴まるところがあるところでやってもらいたい。それが面白い、やりがいがあると思ってくれればいけそうだけどね。

川瀬敦士 本人は体重増加に対する認識、問題意識をもっているんですか。

ケアマネA 問題意識は全然持っていません。手持ち無沙汰だから常に食べている。甘いものがないと奥さんに怒鳴りつける。常に飴を置いておく。今、虫歯になって歯医者に行かないといけない状況です。

山田真理(居宅A・CM) デイケアかわせみ利用中も常に食べていたい人なんですか?

布施良友(川瀬・介) いや、何も言わないですね。

山田真理 じゃあ気がまぎれることがあれば別に食べなくても済むのかな。

布施良友 どうでしょうかね。デイケアかわせみ利用中はポケットに飴は入れて来ますが、特にそれを食べるというのは見ないです。ただちょっと失敗をしてズボン履き替える時は「着替えより先に飴玉を持たせてくれ」って本人が言うので、持っているというのは覚えているんですけど食べないですね。安心なんですかね。

川瀬敦士 とりあえずずっとおやつを入れておきたいというところなんでしょうけどね。

山田真理 デイサービスとか外にいく時間が多くなれば、食べないでいられるってことで体重の管理がしやすくなりそうだなって思うんですけど、例えば半日型のデイサービスに行っていたという実績があるわけですよね。「体重管理とか運動面というところで足の力をつけるのに有効だからまた再開してみませんか」みたいな感じで半日型を今のデイケア以外のところに一個ポンと持ってくるだけの限度額の余裕がもしあれば、そういう風な形にすると半日だけでもお母さんは目が離せるし運動も出来るし一石二鳥かなって、話を聞いていました。

ケアマネA そうですね、半日に戻るということを考えたことがなかったです。

山田真理(居宅A・CM) 前に行っていたことがあって、あそこは好きなところだってもし認識していれば、足の力をつける為にもう一回再開するっていうので納得してくれるかな。もしそこをケアマネAさんの提案で納得が得られなさそうであれば布施さんから言ってもらうとか。「最近ちょっと歩きが悪くなってきたよね。前のところ行ってみたらいいんじゃない」みたいな。好きな男の職員さんから提案してもらうのも手なのかなって思いました。

ケアマネA いろいろお願い事とかは布施さんから言ってもらいます。

川瀬敦士(川瀬・リハ) それはいいですね。あるいは受診の時とかダメですかね。先生から勧めてもらったりとか。

ケアマネA 先生の力は強いと思います。

川瀬敦士 ちょっといい解決が出ましたね。

ケアマネA そうですね。

渡辺美佳子(川瀬・CM) 訪問リハビリで自主トレが定着しそうな方であれば、リハ職の方からメニューを作ってもらって、自主トレが定着するまでの期間の短期だけでもいいかと思うんですけど。

川瀬敦士 訪問リハビリって限られた時間ですけど、普段の生活を考えたりするのが訪問リハビリの1つの役目ですからね。ただまあ人が来るってことに対して本人が受け入れられるかという問題もあるかもしれませんが。

渡辺美佳子 イレギュラーが。

山田真理 でもお金があるんだったら、例えば半日型のリハビリ型のデイサービスへ行って、それこそ自転車みたいなものをやって、同じくルームランナーを買ってもらって家でもやる。

川瀬敦士 そうですね。家だけで始めるよりもそこでやっていることって繋がると家でも続けられて。

山田真理 似たような機械買ってもらって家でもやって。

川瀬敦士 一生懸命時間とか決めたらその通りやるかもしれないし、あと体重とかカロリーを書き出したりとか。

川瀬裕士(川瀬・医師) さすがに介護保険のレンタルにルームランナーとかないんだよね。

渡辺美佳子 聞いたことないですね。ルームランナーはレンタルないですよね。

山田真理 ないですね。健康器具はないですね。あったらいいですよね。

 

多弁…難聴

川瀬敦士 はい。いろいろ意見でましたね。何か参考にして頂いて。続報をお待ちしております。ありがとうございました。では次の事例にいきたいと思います。庄司さんお願いします。

庄司俊彦(川瀬・介) 女性の方です。同じ話の繰り返しですね。結構長くて終わるとまた最初から、まず「あんたいくつだ。私○歳だ。毎週水曜日ここにくる」など。お孫さんの話ですとか。また耳が遠いからなのか声がすごく大きくて、デイケア樫の森中に聞こえるくらいお話しをする。スタッフはずっと聞いていることはできますが、周りの人が怒ってしまうこともあって、周りの人への対応に困っている。一斉プログラム中は落ち着くのですが、食事の時やカラオケ、手作業の時間にあまり本人が興味ないようなので、話が止まらない感じですね。歩行が悪くて車椅子を使っているのでずっとその場にいて、周りの人もずっと同じ話を聞かされているという感じです。

川瀬神経内科クリニック 介護職 庄司俊彦 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) はい、ありがとうございます。どうですか、みなさん聞いてみたいこととかありますか。

山田真理(居宅A・CM) 食事中もしゃべっているんですか。

庄司俊彦(川瀬・介)食事もそんなに長いこと時間がかからないので。12時から1時まではみんな食堂にいて、食後のコーヒーもあって口腔ケアも順番に行くのですがその間中、食事終わってからも。あと食べながらも話をしていますね。

川瀬敦士 おいくつですか。

庄司俊彦 80代。

川瀬敦士 補聴器とかっていうレベルじゃない。

庄司俊彦 この前、入浴の後に耳をみたスタッフが、耳垢がすごいのが入っているとは言っていたんです。とってもとれるようなものじゃなかったという。

山田真理 だから聞こえなくて大きな声出すんですかね。

庄司俊彦 大きい声はいいとしても同じ話の繰り返しなので周りの人がうんざりしてしまっている。僕らからみればすごくいいキャラクターって感じですけれども。利用当初、導入の時は「絶対にそんなところへは行かない」っていうおばあちゃんでしたけれど、見学・体験で一回来たら喜んでくれて、迎えにいったら乗らないんじゃないかなと思ったけれども、カレンダーに丸つけて待っています。今はだいたい週3回利用できています。周りの人から結構バシッと言われたりすることもあります。

川瀬敦士 言われても聞こえていないかもしれないし、忘れてしまうというのも、もしかしたらあるのかもしれないけれども、直接そういう言葉が届いてないからこそ、通所リハの良い部分の記憶だけ残っていくかもしれないね。こういう方はどうしていますかね。グループホームの白井さんどうですか。耳が聞こえずに繰り返す方はたくさんいそうですけどね。

白井晃幸(GH-B・介) 耳のいい方で、「トイレに行きたい」「寝たい」という風によく言われる方がいます。あと他に周りのご利用者様や職員の言葉をそのまま同じ言葉で繰り返すという方がいらっしゃって、「ご飯だよ」と言うと「ご飯だよ」って周りの人に言ったりします。またトイレに行って、排泄されて戻った後に、また「トイレに行きたい、トイレに行きたい」と言って。でもトイレに行っても出ない。便座に座っていても、そこで「トイレに行かせてください」とおっしゃられたりして。あまりにもおっしゃるので周りのご利用者さんが「行ったんだよ!」とだんだんと強い口調になってしまう。そこでうちの施設でもどう関わっていったらいいのかなというような感じです。

グループホーム「楽楽」 介護職 白井晃幸 氏

川瀬敦士 発言内容は様々でも何回も同じことを言うというのは多くありそうですね。楠さんいかがですか?

楠崇晴(GH-A・介) まあよくいますね。デイケア樫の森利用のその80代の女性の方は家ではどんな感じですか。

庄司俊彦(川瀬・介) 家では自分のお子さんたちとの二世帯住宅みたいな感じで、結構分かれているというのは聞きました。

渡辺美佳子(川瀬・CM) 日中はご主人と2人で過ごすんですけど、ご主人のほうは耳が遠くてたぶん聞こえていないです。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 担当ケアマネさんですか?

渡辺美佳子 担当ケアマネではないですけど、うちの事業所なので一応聞いてきました。若い世代の方は聞き流して、相手にしない関わり方で、ご家庭の中ではほんとに大困りはしていないです。

川瀬敦士 芳雄さんどうですかね。

高橋芳雄(川瀬・介) そうですね。難聴ということですけれども、本人がどんどんしゃべるということは社交的な人ではあるのかな。

川瀬神経内科クリニック 介護職 高橋芳雄 氏

庄司俊彦 そうですね。そういう風に見受けられます。

高橋芳雄 ということは楽しく過ごすというのは本人にとっては嫌いじゃないんですよね。

庄司俊彦 本人はお話して楽しいと思います。周りが「このばあちゃんやだー」ってその人より大きい声を出してしまう。

川瀬敦士 それは双方の思いがあるからね。言っている内容は別に悪口を言っているわけではないじゃないですか。

高橋芳雄 何かのきっかけというか、ほんのちょっとしたことですごくいい風にいけるかなと思うんですけど、いろいろ試したんでしょ、庄司さん。

庄司俊彦 座席を変えようと思っても、デイケア樫の森って自分の場所みたいなものが決まっていて、みなさんも覚えていて「どこでもいいよ」という人もいるんですけどそんなにいじれない。席を変えてもいつの間にか戻ってしまっている。

川瀬敦士 一斉プログラムの時は今しゃべる場面じゃないと判断してしゃべらないことも出来るわけですよね。例えば個室みたいなところでお互い耳の遠い人同士で会話してもらうとか無理なんだ。それはダメか。

庄司俊彦 最初お風呂のサービスなかったんですけど、お風呂に入り始めたらその時間はしゃべらなくなったかなという気がします。

川瀬裕士(川瀬・医師) 何かしゃべることよりももっと楽しいその人に見合った手作業みたいなのがあればいいんだよね。それをやっている時は集中するという。1個でも何かみつかればいいよね。

高橋芳雄 歌とかどうかな?

川瀬裕士 静かにやれて没頭出来るのがあったほうがいい。

川瀬敦士 ケアマネとして担当じゃないから。そういうのは聞き取れていないですよね。

渡辺美佳子(川瀬・CM) そうですね。まだ聞き取れていないのでその辺も改めて聞いてみます。

川瀬裕士(川瀬・医師) その人にとってはしゃべることが最高に楽しいものなんだけど、それも楽しいけど、こっちをやっている時は静かにやっているみたいな。子供がゲームをやっている時のように。そういう注意を引くものを見つけていくしかないよね。

庄司俊彦(川瀬・介) 聴力を改善する。聞こえたらもっと楽しい話が出来るんじゃないかなと。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 耳鼻科へ行って耳垢をとってもらえれば。やることはやってみたらいいんじゃないかな。原島さんここまでで何かありますか?

原島哲志(川瀬・介) 怒られているのは聞こえているのですか?

川瀬神経内科クリニック 介護職 原島哲志 氏

庄司俊彦 ダメージは受けていないですね。ちょっとその時はショボンとしますが、すぐに復活します。

川瀬敦士 「うるせや」じゃなくって「もうちょっと小さい声でお話ください」って言ってみるっていうのはどう。何回か。ちゃんと強調してやってみるとか。はなから聞こえていないというところじゃなくって。

川瀬裕士 相当大きな声で耳元で言えば聞こえるよね。

庄司俊彦 聞こえます。

川瀬裕士 完全に聞こえていないわけではないんだけど、もうちょっと小さい声でもちゃんとみなさん聞こえますよっていうのを真正面から1回ちゃんと伝えてみるっていうのもいいよね。

川瀬敦士 丁寧な言葉で書いた物でもいいかもしれない。

庄司俊彦 「今静かにしてね」っていうと「そうそう(分かったよ)」って。

川瀬敦士 いい人じゃないですか!

庄司俊彦 でも長続きはしない。

山田真理(居宅A・CM) 前に老健勤めていた時に、やっぱり耳塞栓があって、だから耳が遠いんですよね。耳が遠くてこちらの言っていることもなかなか聞き取れないし、本人も大きい声でしゃべるんですけど、一回ご家族さんに耳鼻科に連れて行ってもらって塞栓とってもらったらご本人の声も少し小さくなりました。

川瀬裕士 即行耳鼻科に行ってもらえばいい。

川瀬敦士 それでは耳鼻科に行ってもらうことと、小さい声で話をしてもらうようにきちんと伝えることと。

庄司俊彦 耳をみてみようかな。

 

多動…脱抑制

川瀬敦士 お願いします。では次にいきますね。次の事例も庄司さんです。

庄司俊彦 80代の女性の方です。じっとしている時はじっとしている方ですが、「午前中すごく今日調子いいね。静かだね」みたいな感じで見ていたらお昼食べた後から急に何のきっかけか分からないですけどウロウロし始めて施設内を歩き回る。トイレのタイミングでそういう風に動き回ることもあって、トイレに行って用を足すこともあるんですけど、そうではなくておしっこが出るわけでもないのに脱衣してしまう。ズボンを下げてしまったり。所構わずなっちゃうので。みんなの前で急にプログラムの時にスタスタスタと来て踊りだしてしまったり。周りの方が怪訝そうな感じで引いちゃうんです。実際にトイレの時もあって、ちょっと目を離したすきに玄関で放尿されていたこともある。トイレがすんだからといって落ち着くわけでもないです。一番好きなのがお風呂場で、お風呂の予定のない日にも行ってしまったり、男性が入っているところに入っていこうとしてしまったり。かなり苦労している人です。

佐藤豊子(居宅B・CM) どのタイミングでというのも分からないですけど。ご自宅ではご飯を食べている最中に突然動き始めて、ご飯も介助しないと食べられないとおっしゃっていて。お父さんのほうも突然ズボン脱いだりする行動が嫌だという風におっしゃって、なんでそういうことをするんだかよくわからないんですけれども。要介護5でいらっしゃいまして、確かに最近トイレの場所もわからなくなりまして自宅でも床におしっこをしたり、玄関が最近おしっこをよくする場所になってきたと。お父さんが普段みていらっしゃいますけど、なかなかデイサービスの準備も介護が難しくなってきているような状況ではあります。

庄司俊彦(川瀬・介) こちらの働きかけに結構拒否もされるので。何をどうしてでも風呂場に行く。

坂井美和子(川瀬・看) 今日受診された方ですね。お父さんと来てじっとされていなくて。最近廊下でおしっこしたり突然スイッチが入って自分の意に反すると興奮して手が付けられなくなって、この間、徘徊というか家から出て戻れなくなって警察にお世話になったこともあるんですよね。

佐藤豊子 5分くらい目を離したすきに居なくなったという話をデイケア樫の森さんの方にお父さんが言われて、それで私のところにも連絡がきて、困ったなと。ずっと靴ステッカー4の話とか進めていたんですけど、それはいいとおっしゃっていてしていなかったし。息子さんのところに連絡したら、丁度警察に保護されたところだとおっしゃっていて、行方不明だったのは1時間くらいのことで、すぐ保護されたみたいだったんですけど。その日はちょっと落ち着かなくて朝玄関のところにいって、傘で玄関のガラスを割ったという。今までそんなことなかったんだけれどもという風なことをおっしゃっていました。

居宅介護支援事業所 長和園 介護支援専門員 佐藤豊子 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) 誰と一緒に暮らしているんですか?

坂井美和子 ご主人と長男さんですね。

川瀬裕士 受診への付き添いは主人だけ?

坂井美和子 ご主人だけですがこの間ご長男さんも来てもらいましたが、なかなかあまり関わっていないみたいです。

*4 登録した人に、黄色の蛍光色の靴に貼るステッカーを配布し、靴に貼ることで、行方不明になった際の身元確認を早期に行えるようにするもの

川瀬裕士(川瀬・医師) 結局このパターンは薬を使って、落ち着く感じにもっていくしかないと思う。認知機能が実際に落ちてきているから。ただ薬にはいろんなパターンがあるんだけど、ある程度のところまでは良く出来ると思うんだけどね。この状態が長かったから「これでいいよ」っていう風に家族に納得してもらっていたのかもしれないけど、まだまだ可能性はあるかなと思うけどな。こういう問題を言ってくれる人は言い続けているからそれで伝わるけど、家族とかがこれはこういうものなんだって思ってしまっているのだったら言ってくれた方がいい。認知機能的にだいぶ落ちてくると、ゴールは認知機能を保つというところではないと思うから、その為に薬の調整をする時に家族が正しい理解ができるかどうかだよね。薬を使っていくことでリスクもあるから。どこがゴールなのかっていうのを共通理解して、薬の調整をしていくっていうことが大事かなと。

坂井美和子(川瀬・看)ずっとお父さんが頑張ってカバーしてきた。それが出来なくなってきて一気にここ2,3か月問題になっています。

川瀬裕士 その問題が浮き上がらない可能性がある人が介護をしているかどうかは注意してみていかないといけない。だから伝わらなかったんだろうね。旦那さんは何歳くらいなの?

坂井美和子 旦那さんはスタッフの方も「お父さん認知症が始まったんじゃないかな」って心配して。

川瀬裕士 そうするとなかなか進めない時がある。

坂井美和子 この間検査したらMMSE28点くらいでした。

川瀬裕士 点数が良くてもいろんな考え方に偏りがあったり、理解がまだ十分ではない人とかいるかもしれない。(本人は)受診時にイスにも座れない感じだったからスタッフが付きっきりで話をしながら診察室を出て行った。その後問題意識をちゃんと把握して分かっている人だったら、だいたい家族だけが残って、「じゃあ先生こういうことで行きましょう」って話し始めるけど、この時は何も言わずにすっと出て行った。そうすると家族は困ってないのかなって思っちゃうけど、実際はそうじゃないってことがいろんなところでありそうですね。伝えてもらわないと分からない感じはしました。

ケアマネA こういう方の場合は、みんなの困りごとを考えると排泄しようとして脱いでしまうとかそういう行動を抑える薬になるんですか?

川瀬裕士 いや、理解力が悪いから言葉で説明も出来ないし、ただ背景に脱抑制というものがあるんじゃないかな。そこも含めてなんだけど最終的には少しボーっとして眠たくなっているような感じに持っていけるように色々調べながら薬を試してみようかなと。薬に即効性がないとね、こういう症状で言ってくる場合は家族が普通耐えられない、長く持たないことが多いからスピードが大事で早くその症状をとらないといけないんだけど、そうすると家族に薬のリスクを説明した上でトントントンと調節していって、落ち着いてから微調整をしていく必要がある。

ケアマネA 行動を落ち着かせる。

川瀬裕士 ボーっとまでは行かないそのギリギリのところまで。

山田真理(居宅A・CM) 今言われた脱抑制。昼間は落ち着いているんですけど夜寝ると全部脱いでしまう。紙パンツも脱いでしまってそれで失禁をしてしまって家族が大変という方がいらっしゃるんですけど、夜よく眠れなくって手持無沙汰になって脱ぐのかなっていう風に考えていたんですけどなんかそういう衝動的に脱ぎたくなるみたいな人ってあるんですかね。

川瀬裕士(川瀬・医師) いくつかのパターンがあるけど、この人はどちらかというと、踊るとか前に出て何かするっていうのがあるんだったらそういう要素もあるんだろうし、1人で寝ていて自分で布団の中で脱ぐっていうのは、不快という感情だけ残っていてそれを除去するためにやることもあるのかもしれない。この方はもうちょっと、いきなり踊ったり脱いだり、そういうのが目立って他の人とは違うところがあると思う。一応普通みんな律している心があるわけで、それが取れてしまうと周りの目を気にしなくなって、それも前頭側頭型認知症の症状だし、もしそれが発作的に起こるようだったらてんかんの合併とかもあるのかなとかいくつか考えていきます。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 性的逸脱行為とかっていうのもありますよね。

川瀬裕士 若い人のヘルペス脳炎とかでも、側頭葉がダメージを受けると、みだらな行動を普通の人が突然やり始めたりすることがある。脳炎や、てんかんがあったりしてとかはあるかな。

川瀬敦士 ここまで深刻な状況をご家族が伝えきれていなかったという部分で、どんな風に先生に伝えて行ったらいいか何かアドバイスとかありますか。診察の時について行ったらいいんですけどね。

川瀬裕士 発端がないとね。観察者がどういう人かというのはある程度把握をするようにするけどそれでも見落とすことはある。

川瀬敦士 本人の状態がまただいぶ変わるかと思いますからその中でどういう生活を設計していくのか、いろいろ課題が出てくると思います。

佐藤豊子(居宅B・CM) 私ももっと先生に状態を伝える努力をしないといけなかったんだなという風に思って反省していて、今度薬の調整をしたら川瀬先生に相談しながら進めて行かないといけないのかなという風に思っています。

川瀬裕士 どこかでちょっとしたサインを出してくれれば、何かに満足していないというのが分かれば、こちらから必要な情報を集めます。

 

多動…歩き続ける

川瀬敦士 次の事例です。芳雄さんお願いします。

高橋芳雄(川瀬・介) 90代の女性の方(Bさん)です。サービス付き高齢者向け住宅に入居しています。日中は椅子に座って居眠りしているか、歩き回っている。他のご利用者様が席を離れたすきにそこの席に座って居眠りを始めてしまうこともあるのですが基本歩き回る。無理に押しとどめても不穏になるだけです。目立った迷惑も掛かっていないのでBPSDと捉えず歩行訓練をしているとみなすことにしました。他のご利用者の方にも「応援してあげて、頑張れ」と言ってあげております。だからこちらの捉え方次第でということです。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 聞きたいことありましたらどうぞ。

ケアマネA 私の施設でも常に歩いている方がいるのですけれども、その方を見ていて本人は困っているのではないかと思うことがよくあるんですよ。しょうがなく歩いているんだけど、本人にとっては目的があって歩いているけれども実は困っているんじゃないかって思うと、止めてあげたほうがいいのではないのだろうかと思うことがよくあります。そこはどうなんだろう。よく捉えれば歩行訓練だけど困っているのならば気分転換をさせてあげた方が本人の困りごとを解決するになるのかなって思うんですけどどうなんですかね。

川瀬裕士(川瀬・医師) 認知症の人が書いたブログとかで、何をしたらいいのか分からないというイライラが歩くことで解消されるからという人もいるようです。我々もそうだけど単純作業をずっとやっていると落ち着くことがある。だからその人はぼーっと待たせられると、「あれ、何かしないといけないんじゃなかったっけ」とか、いろいろ不安が出たりするのを歩くことで何か自分が今すべきことをしているっていう風に落ち着くことがあるのかもしれないから、困っているわけじゃないパターンも中にはあるようです。だけど困っているパターンもあると思う。

川瀬敦士 程度もありますよね。見るからに汗をかいて転倒リスクもありますしね。

渡辺美佳子(川瀬・CM) ケアマネAさんの施設の方って歩いている時はどんな表情でしたか?

ケアマネA 表情を変えずに淡々と歩いていて、目的に向かって食堂・トイレ・部屋・食堂・トイレ・部屋っていうパターンをずっと繰り返していたりしています。

川瀬裕士 前頭側頭型認知症の周遊行動も結局そうなんだよね。それをやって落ち着かせているっていうところもあるのかもしれない。

原島哲志(川瀬・介) 何パターンかあって、自分で部屋の電気を点けられない方は、夕方自分の部屋に戻りますが部屋が暗いから出てくるんです。それで食堂のほうに来るという困りごと。あと夕方お腹が空いているんですね。食べ物をあげるとずっと座っていたりします。それとトイレに行きたい時もまたちょっと動き方が違うので。一緒に歩いていると結構分かったりとか、後ずっとつけていたりとか、まあ歩きますね。

高橋芳雄(川瀬・介) おかげで夜しっかり寝てくれるし筋力も保っているといういい面もありますけどね。

原島哲志 Bさんは、今93歳なんですけど、失禁がないんですよ。それだけでも助かっています。

ケアマネA そういう行動に応じての食事提供をしないとダメですよね、運動量が多いから。

原島哲志 そうですね。

 

多動…外に出たがる、こだわりが強い

川瀬敦士 はい、では最後です。山田さん。

山田真理(居宅A・CM) 先程お話した今デイケアに行っていただいている70代の男性の方です。冬場は寒いので外に出なくなったんですけど、冬になる前までは家の外をぐるっと歩いてまた戻って、ぐるっと歩いてまた戻ってという感じで、とにかく外に出ていたような状況です。今冬場でまた動かなくなったんだけれども、それでも家から玄関をガラッと開けて外に出てまた戻ってきて、玄関ガラッと開けて外に出てまた戻ってきてっていうのが昼夜問わずありますね。夜の9時くらいにあったりとかして。夏場に車に乗って出かけて行って迷子になったというのが何回かあった方なので、今車は撤去できたんですけれども、それでもまた歩いて出かけて行った先で迷子になったり戻ってこれなくなったりするんじゃないかというご家族の不安がすごく強くて、それで家にいられるくらいならサービスを使っていてもらった方がということで、今事業所にお願いして、とれるだけとってくださいと言って、2カ所使ってサービスを組んでいる方です。あとは動き回るっていうのともう一つが時間、スケジュールに対するこだわりが強くて、私いつも訪問した時に、1か月分のカレンダーを持っていくんですけれども、それを常に持ち歩いていて、終わったら×印をつける。「今日はここだな、明日は川瀬さんに行くんだな、何時になったら行くんだ?それは何時間後だ?それまで俺は一体何をすればいいんだ?」というのを常に言っているような方です。時間にこだわるのと、スケジュールにこだわるのと、あと何していればいいのか分からなくて家だとうろうろしているという状況で、聞くとデイの時はとっても穏やかに過ごしていらっしゃるので、ただやっぱり自分の中でのスケジュールがあって帰りの時間は4時くらいだというのがあるから、それがご家族の都合で遅めの送迎にしてなんて言うと、ちょっとそわそわして「もうすぐ4時なのになんで帰らないんだ」というのがあったという話も聞いています。今決まったプログラムの中でしか動けなくなっています。ご家族の用事で4月の頭にショートステイを使いたいのだと、その為にお試しで一回、一泊二日でショートステイに行きますというのをやったんですけれども、今までと違う場所に行った、ここは泊まるところだ、というところでの理解と納得が得られなくって結局夕方ショートステイの人に家まで送っていただいて泊まらずに帰ってきたという状況ですね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) さっき聞いたような話ですね。

山田真理(居宅A・CM) 似ているなって思って。

原島哲志(川瀬・介) この方はスケジュールがだんだん前倒しになっているような感じが最近はちょっとありますね。「明日受診なので今日ちょっと早く送ってくれないか」と言われるので、「いや、でも受診明日ですよね」と言うと、「そっか、じゃあ今日はいいんだな」みたいな感じで納得はしていたんだけれども。

山田真理 実はもう一つのデイサービスの方でも全く同じ状況です。自分の中で自分が行くところはこことここだというのがあって、そこ以外のところというのが納得できない。あとは帰りの時間が「ここは何時だ。デイケアだと4時。もう一つのデイサービスだと4時半。ここは何時に帰るんだ」と言う。「お泊りの施設ですよ」というのが納得できない。ショートの人から呼ばれて私行って話をしたんですけど、頑固で納得が得られなくて。

原島哲志 ショートステイは難しいかなと思っていました。

山田真理 やってみないと分からないかなって思って。デイサービスの追加をする時もあれだけ「自分は他のデイには行かないんだ」っておっしゃっていたところをちょっとやってみたら嫌々ながらもなんとか続けていられる状況が出来ていたので、ショートもやってみなきゃ分からないかなと思ってやってみたところダメでしたというところで。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 泊まるっていうのは特に男性ダメですか、泊まるってことに対して。女性もそうですかね。

山田真理(居宅A・CM) その方によりけりですかね。

川瀬敦士 男性の方が抵抗感がある。早く迎えに来いとか言うのは男性に多いのかなというのが僕の個人的な印象なんですけど。

ケアマネA 認知症の男の方で、特養のデイサービスを使っていて、その同じところのショートステイだったら入ってくれるだろうと思って、同じ施設内のショートを使ってもらったら、ものすごい暴力で杖を振り回してとってもじゃないけど泊まってもらえませんっていう方がいて、何回試してもいつも帰ってきて結局ショートを諦めたんですけど、他のショート専用の場所に切り替えてみたところ、きっと帰ってくるだろうと家族もその夜準備をして、引き受けにいける曜日を設定して使ったら、その事前情報を出しておいて、その可能性はかなりあるのでって向こうも構えていたら、自然に静かに泊まることができた。その後も全く乱暴を働くとか帰るということがなく泊まれている方がいるので、環境や雰囲気がその人にとっては嫌だったのかどうなのか分からないんですけど、「帰りたい」って1回は言うんだけど、「今日は泊まりますよ」って初めての職員さんが説明すると、「そうか」と言って静かに一晩過ごせているというのもあった。やってみないと分からないっていうのはあるのかなって。その人にとっての雰囲気か何かがあるのかなみたいな。

山田真理 デイサービスの時が特にそうですよね。デイサービス大丈夫かなって、あれだけ「幼稚園みたいなところ行かない、デイサービス嫌だ」って言っている人がお試しに行ってみたら「楽しかった、来週から行く」っていうのがあるので。「きっとたぶんうちのおばあちゃんデイサービスは行かないと思います」って言いながらやってみたら楽しめたみたいなものもあるので。やってみないとわからないというところを踏み出さないといけない仕事なんだよなと思いながら、「ごめんなさい」と思いながらいつもお試しさせていただくんですけど。

川瀬敦士 言葉では伝わりきらないものを、実体験、本物を感じてもらうとちょっと違うというのはあるのかもしれませんよね。理解力が難しくなっているのもあるので。

山田真理 と思って今回試してみたら挫折しました。試してみたらお帰りになってしまった。

川瀬敦士 デイケアでの過ごし方はどんな感じなんですか。前倒しみたいにどんどんどんどん先の事を、「お昼まだか」と言ってみたり、プログラムの場面ではどうなんですか。集団プログラムとか。

原島哲志(川瀬・介) カラオケ好きなので昼食後に1時間位歌っていますね。

山田真理 あと塗り絵も見せて頂いた。すごく嬉しそうに「こんなの作ってきたんだー」って見せて下さって。

川瀬敦士 この方は外に飛び出してしまうというのもあるようですが、今後こわい課題でもありますよね。そこらへんは何かいい手だてないですかね。渡辺さんどうですか。外に出て行ってしまうような人。

渡辺美佳子(川瀬・CM) ものすごく行動力のあるご家族がいて、靴の中敷きにGPSの端末を入れて、それを履いて家から出るとご家族の携帯にメールで「家出ましたよ」みたいな。そうするとGPSで辿ってどこらへんにいるというのが分かるので発見が早いという方がいて、その方は首から名札を下げ、靴の中敷きにGPSが入っていて、ベルトにココセコム5をつけて、本当に毎日外に出歩いてしまう男性なのでそういう対策をしています。

山田真理(居宅A・CM) 外に出てもいいように、見つけられるようにということですよね。

渡辺美佳子 外に出るのは悪いことではない、ずっと散歩の習慣があった方なので。ただそれが段々帰れなくなったということで、機械に頼るというのを即家族は対応していました。

山田真理 一応GPSのことに対して提案はしているんですけど、家族のご理解がなかなか。「そこまでするのもどう?」みたいな。でも出て行って帰ってこられなくなったらどうしようって心配という感じです。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 理解のギャップというのも今までテーマに上げたことありましたけどね。GPSのほうも少しずつ段階的に理解が得られるといいですね。

山田真理 そうですね。

*5 セコムが提供する「持ち歩けるセキュリティ専用端末」。目的の対象に専用の端末を携帯させることにより、電話やホームページでいつでも対象のいる位置を確認することができる 

川瀬敦士 小林さん、何か言いたい事はありますか?

小林英夫(製薬会社) ちなみになんですけど、繰り返しお話される方っていうのは客観的には自分の姿はみれないものですか。今僕らもいろいろ研修を社内でやっている中で、今私がしゃべっているような状態をビデオで撮ってそれをみんなで客観的に自分を見直すというような研修をやっていまして、止めると問題が起こってしまうというお話もあったので、仮に動かれている姿をビデオに撮ってそれをご自身で見た時にどう反応されるのかなというのが思いながら話を聞いていたところはあって。

川瀬敦士 そういう試みをやったことありますか?

原島哲志(川瀬・介) ありますね。でもそれを理解できないレベルの方だったので、自分だということが分からない感じだったので、ただ見ているだけという感じでした。

川瀬敦士 客観視できているからこそ逸脱行為をしないっていうのがあるんだけれども、よりわかりやすく伝えた時にどうかっていう。過渡期で伝わる人がいるかもしれませんけどね、どうですか山下さん。

山下修平(老健・リハ) リハビリの時の動作指導でしか使わないですけど、動作指導の時は一応タブレットに録画して本人さんに見て頂いて、身体図式6が崩れている方も多いので、認知の方でも中等度くらいの方であれば見せてあげると本人さんにはフィードバックはしやすいですけど、重度になると個人がわからないので「誰だ?」という話になってしまいますね。なので自分じゃないと否定してしまう方が多いかなと。

*6 自分の身体の姿勢や動きを制御する際にダイナミックに働く無意識のプロセス・「実際の感覚」によって作られた「脳のネットワークの中」の自分

小林英夫(製薬会社) ありがとうございます。

 

感想

川瀬敦士(川瀬・リハ) では感想を一言ずついただきたいと思います。

白井晃幸(GH-B・介) いろんなうちではないような事例を聞かせていただいて、またご利用者様への対応とか今の話を踏まえた上で考えて対応していこうかなと思っております。どうもありがとうございました。

渡辺美佳子(川瀬・CM) 私の担当の方で、貧乏揺すりをなんでやっているんだろうねっていうので、今日の勉強会でよく聞いてきてよって頼まれた事もあったんですけど、やはりご本人の気持ちとか、どうしてっていうのもきちんともう一回考えて客観視というところが目からうろこだなと思ったんですけれども、そういったところをご家族に声掛けしてみたりとか、ご本人の気持ちを考えたりしてみて、また今後に活かしていけたらいいなと思います。どうもありがとうございました。

黒崎博志(製薬会社) 本日は参加させていただきましてありがとうございました。会の中でいろいろとお話をお伺いしている中で、今回多弁多動というところである程度患者様の状態が進行しているようなところにフォーカスをされていたので、まずメーカーとしてどの部分にいけるのかなと。もう少し早い段階のところからいろいろとサポートできるのかなというようなところを考えていたのですけれども。あと多弁多動という言葉だけをみると、非常に困り事というイメージをすごく持って今日参加したのですけれども、実はその中で動くことによっても運動量とか体重コントロールとかそういう具体的な良いことがあるというのが全然気づいていなかったというのがあります。なので一言で言うのではなく、この事例に対していろんなところに取り組まれて苦労されているんだなというのを非常に感じました。そういう事例をいろいろ勉強できたのが非常に参考になったかなと思います。また機会がありましたらぜひよろしくお願い致します。

野村恵一(製薬会社) 今日はありがとうございました。いつもは聞けないようなお話で、私のおじいちゃん、認知症でこんなのあったなと思いながら聞いていましたし、祖母も今93歳で、93歳のおばあちゃんが大変なことをやっているなというお話を聞きましたので身近に感じた一方で、何が出来るのかなと思いまして、最後に名札掛けてGPSつけてセコムと連携したりというお話もあったので、アプリとかそういった他業種とかが一緒になってメーカーとして連携した動きができるような仕組みですとか、いろいろなことで返していけるようなヒントをいただけたのかなと思いました。

小林英夫(製薬会社) 冒頭に敦士先生からお話いただいた、困った行動を喜ばれる行動に変換するというのを頭に置いてみなさんのお話を聞いていたんですけど、僕まったくできなかったです。身内に認知症の方がいた時にどう自分の中で変換していけるのかというのを時間をかけて考えたいなと思いますし、院長先生がおっしゃったちょっとしたサインというのを家族としてどうやって諦めないで最後まで先生にお伝えしていけるかという、そういうこともいろいろ考えさせていただいた時間でした。どうもありがとうございました。

坂井美和子(川瀬・看) ありがとうございました。なかなか診察でご家族が伝えきれない部分をケアマネさんとかサービスが気づいているところを、なんとか連携して先生に伝えてよりよくその人が治療を受けられるようにするのが私の役割だなと改めて思いましたので先生にいろいろ伝えていきたいと思います。よろしくお願い致します。

山下修平(老健・リハ) 本日はありがとうございました。初参加になりますがあまりしゃべらないで申し訳ないですけど、施設でよくみる困っているご利用者、お話聞くと似たようなパターンで困っている部分が多いなという風に改めて実感させていただきました。個別リハビリというところで、僕の仕事だと短時間に集中的にかかわることが多いので、長い時間かかわることがない分、その時間帯の後どうしようというのがすごく難しいなと、常日頃感じていますが今日改めて感じさせていただきました。自分が大切にしていることですけれども、敦士さんからも話がありましたけれども、大声出す方の補聴器の話も出たかと思うんですけれども、やっぱり自分的にも大切にしているところでは、本人さんのしゃべれる・聞こえるのであれば、まずは声でのコミュニケーションのところで本人さんの思いを確認して、もしくは引き出してうまくその辺を察知できれば受け入れやすいのかなというところも自分が少し感じたところであります。以上です。ありがとうございます。

ケアマネA みんな同じことで困っていて、先生に伝わりきれていないところというのも、ご家族はいつものことだから諦めてしまっていて伝わっていないことを、ケアマネが坂井さんを通してだったり、先生にFAXだったり、同行受診したりとかで伝えないと伝わらないんだなということが非常によくわかったのと、ケアマネは家族の困りごとを解決してしまいそうになるんですけれども、ご本人の困りごとを解決したいなと思いました。ありがとうございました。

山田真理(居宅A・CM) 今日初めて参加したのですけれども、歩きまわる、歩くということが本人の精神安定につながるんだよという先生のお話とか、多動で動くにしても、さっきのかえるハウスの方の事例のように部屋の電気が点いていなくて不安になって歩くとか、お腹がすいて歩いてくるとか、何か原因があってそういう風な形をとっているんだよっていうのを知っていて接するのと、知らないままなんでこの人歩くんだろうって思いながら関わるのとでは違うなと思って、やっぱりケアマネジャーの立場としてはちゃんとその辺のご本人の多動のところの理解とかきちんとしたアセスメントをちゃんとしていかないといけないし、それをするためにはやっぱりみなさんデイサービスの方とか、先生から、ご家族から情報をもらってきちんとしたアセスメントをしたうえで次の段階に繋げるような仕事がしていけたらいいなと今日改めて感じました。ありがとうございました。

楠崇晴(GH-A・介) 多動多弁になる原因としては、やっぱり本人の役割の喪失、何をしていいかわからない、この時間どうしていいか分からない、この空間で何をしていいのかわからないというそういうところがあるのかなとずっと思っておりますし、仕事でもそうやって関わっていたのですけれども、実際本人にならないと、理解しようとはしているんですけれども実際何に困っているのかそこまでなかなか手が届かない、理解が及ばないというか、難しいなと聞いておりました。理解しようとする姿勢をこれからも持ち続けたいなと思っております。ありがとうございました。

布施良友(川瀬・介) 普段なかなか担当者会議とかでお話を聞いたり、困っているということを聞いても今日みたいにゆっくりケアマネジャーさんとか他の職種の方からお話を聞く時間というのはなかなか難しくて、今日ケアマネAさんに来ていただいていろいろとお話をさせていただいて、普段のキャラなのか症状なのかというのも含めて、また現場でもよくみながら看護とか外来とかに繋いで、ご家族さんケアマネさんとも連携してこれからも現場で仕事をしていきたいと思います。ありがとうございました。

庄司俊彦(川瀬・介) みなさんの考えや意見を聞きましてまた改めてその人の置かれている環境とか背景を考えて、通所に1日のうち6時間から7時間、利用者さんが楽しく過ごせるようにまたみんなで工夫して働きかけていきたいと思いました。ありがとうございました。

原島哲志(川瀬・介) 今日はお疲れ様でした。今回このテーマでなかなかいい解決策というか答えというものはなかなか難しいテーマなのかなというのはすごく感じました。介護の仕事をしている我々にとっては1番本人と直接現場で触れ合うところなので1番本人のことを気づきやすかったり分かりやすかったりというところもあるので、定期的な担当者会議とか以外にも、状況が変わってきたとか家族が病んでいるようだとかいうのがあれば、すぐ連携して開けるといいなと思っております。また今後もよろしくお願い致します。ありがとうございました。

高橋芳雄(川瀬・介) お疲れ様でした。まだまだ行動だけに目が行きがちだと思うんですが、心理の方もしっかりと目を向けられる介護をしてあげたいと思いますし、また同時にお薬の力というものがあるので、むしろご家族の方がお薬を拒否する面もあると思うのでそういうことではない選択肢の1つとして大事にして下さいというのを伝えていければと思いました。大変勉強になりました。ありがとうございました。

佐藤豊子(居宅B・CM) 今日事例で取り上げて頂いて本当にありがたかったなと思っております。困ったねと言って担当者会議でみなさん介護関係者とは相談していたのですけれども、また一歩踏み込んで先生とも相談してお話したいという風に思いまして、そして今日の研修会で本人と家族の思いというのが違うことがございまして、つい家族の大変さが見えるもので家族のほうに少しでも楽になるようにという風に感じてプランのほう組みがちですけど、いろんな行動をしている中でも本人の思いはあると思うので、それを踏まえながら改めて考えていこうかなと思いました。ありがとうございました。

川瀬敦士(川瀬・リハ) はい、みなさん本当にありがとうございました。みなさんのおかげで活発な意見交換が出来たと思います。今日初めて会った方も初めて会った訳ではないいつも一緒に働いているのかくらいの感じで打ち解けて話が出来たかと思います。これも皆さんの人柄のおかげだと思っております。今回で11回目となって、テーマは毎回違いますが今まで出てきたテーマが、これは介護者の理解のギャップだなとか、これは暴言暴力にもでてきたかなとか、繋がってくる感じが自分の中ではあって、続けてきたことっていうのがすごい大事で、原島さんもなかなか答えが出ないとか毎回こんな感じですけれどもちょっとでも得るものがあったりする。続けてきたことの成果かなと非常に個人的に感じました。

川瀬裕士(川瀬・医師) お疲れ様でした。今回のテーマの多弁多動ということにしたのですけれども、結果的には前頭側頭型認知症の会になったなという印象です。耳が遠くてという人とかなり認知症が進んでいってしまった人も違う対応になるけど。前頭側頭型認知症というのは有病率は結構少ないけど、結果的にそれに近い形になる人が結構いて、家族が困る最も悪い形の認知症で治療も一番難しい。実際認知症疾患診療ガイドラインというものでも、前頭側頭型認知症に効く薬っていうところでは、コリンエステラーゼ阻害剤という最も基本となる認知症の薬、これは効果が無いばかりかかえって悪くするからあまり使わないようにっていうくらいになっていて難しいんですね。メマンチンという薬は良いかもしれないし、あと使える薬として書かれてあるのは抗うつ薬もある。原因に結びついているとは思うけど、この問題、異常行動とか多弁多動とか、怒りやすいとか、決まった時間に何かをしなきゃいけない、そうせずにはいられないという症状の背景は、これは僕の考えでもあるけど、不安なんですよね。だからどうしたらその人を安心させてあげられるか、それは薬であっても薬でなくても。それをいつも考える。高齢の人はある程度鎮静系の薬でコントロールできるけど、前頭側頭型認知症の特徴として、若い人に多いというのがあるから力も強いし、周りへの影響も大きいし、声を出せば大きいし、ちょっとした鎮静剤ではあんまり効かない。だから結構強い薬でいかないといけない。僕が若い前頭側頭型認知症、体が大きい男の人でも上手くいった薬の治療の例としては抗うつ薬が上手く効いてくれたパターンや抗てんかん薬もある。なかなか抗精神病薬という眠らせるような薬だけでは、相当な量までいかないと難しい。そこにはリスクも伴ってくるし量を上げていくのに時間もかかる。そのことをよく理解して許容できる家族、主介護者がいないとそれも成り立たない。だから治療するにしても薬も制限されるし時間もかかるし上手くいかないこともあるかもしれない。非常に難しい病気かなと思う。ただ不安をとってあげられればというところに関しては、薬以外の治療を、すごく上手くいった例もあると言っていたので、ちょっとした何かでその人の不安を取ることに結びつけばその症状を抑えられるかもしれない。不安を煽る対応をすれば真逆にすごく悪くなる。介護とか身近な人の一挙手一投足、その人にどういうイメージを与えるかによってかなり大きく分かれていく病気なんじゃないかな。ある意味ほんとに我々の腕が試される。薬以外の部分では。僕らが勉強させられるケースがいっぱいあると思うのでこれからもまた何かあれば相談して頂ければと思います。ありがとうございました。

川瀬敦士(川瀬・リハ) はい、ではこれで終わりになります。ありがとうございました。