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認魂レポート

第10回テーマ : 家族や介護スタッフがかかえる介護ストレスにどう対応するか?

参加者:
【介護職】荒井与志哉1 有坂まさみ1 高野理香2 原島哲志3 布施良知3
【介護支援専門員】佐藤光美  関崎敦子4 服部泰之5 早川直樹6 渡邊知美5 渡辺美佳子3
【薬剤師】加藤智世7 長谷川義浩7 山寺忠之7   【事務長】川瀬弓子3
【スクールカウンセラー】長谷川淳子8   【保健師】本間友子9
【看護師】坂井美和子3    【作業療法士】 川瀬敦士3   【医師】川瀬裕士3)  

介護職・・・以下「介」   介護支援専門員・・・以下「CM」  薬剤師・・・以下「薬」
作業療法士・・・以下「リハ」  看護師・・・以下「看」    保健師・・・以下「保」
事務長・・・以下「事」     スクールカウンセラー・・・以下「SC」

1)特別養護老人ホーム 燕愛宕の園(以下「特養」)
2)はあとふるあたご デイサービスセンターさかえ(以下「デイサ」)
3)川瀬神経内科クリニック、ディケア樫の森・かわせみ、本成寺安心住宅かえるハウス(以下「川瀬」)
4)さわやか苑 三条東 居宅介護支援事業部(以下「居宅B」)
5)あさひケアプラン(以下「居宅C」)
6)(公社)認知症の人と家族の会 新潟県支部三条地区(以下「家族)
7)メッツ嵐南薬局(以下「薬局」)
8)にいがたアドラー勇気づけくらぶ(以下「くらぶ」)
9)三条市 福祉保健部 高齢介護課(以下「行政」)

 


 

氏  名(所属・職種)
川瀬敦士(川瀬・リハ) 10回認魂研修会を始めます。司会を務めます川瀬敦士と申します。どうぞよろしくお願い致します。本日のテーマは「家族や介護スタッフが抱える介護ストレスにどう対応するか?」です。初めに川瀬神経内科クリニック院長川瀬裕士の方からご挨拶と認魂研修会の目的についてお話させていただきます。
川瀬神経内科クリニック 作業療法士 川瀬敦士 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) この会は2015年に始まり、年3回開催して今回が10回目の記念すべき会になりますので、テーマについていろいろ考えました。今まで食事関係、排泄関係、暴言・暴力、不眠等いろいろやってきました。今までやってきたテーマでまだ話し足りなかったことをやることも考えましたが、介護に関する問題ついてどういうものがあるのかと自分なりに見ていく中で、やはり認知症の人と暮らす家族あるいは認知症を普段見ている介護スタッフが抱えるストレスというものが大きな問題だと分かってきて、そのストレスでご家族が疲弊することもあるし、介護スタッフが苦労することもあります。それがあるとまた認知症の人に跳ね返ってしまいます。どのように介護ストレスに対応すればいいのかを話し合ってみようと思いました。今までは認知症の人がいてその人の症状に対応すること、非薬物療法でうまく対応するにはどうすればいいのかを話し合ってきましたが、今回は自分達自身でもあることだし、あるいは皆さんが関わってきている認知症の人のご家族に対する助言にもつながると思います。テーマとして広くなるかもしれませんが、いくつかの事例を挙げてもらいました。皆さんの経験から良い方法を教えていただければそれをまとめていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

川瀬神経内科クリニック 医師 川瀬裕士 氏

川瀬敦士 今回は介護ストレスがテーマです。普段介護されているご家族の方の生の声をなるべく多く聞きたいということで、認知症の人と家族の会の世話人の早川さんをお招きしました。第8回の時も世話人の山谷さんに来ていただきまして、この時も本当に心のこもったご意見と生の声を聞かせていいただき充実した会1になりました。今日もどうぞよろしくお願い致します。もう一方はにいがたアドラー勇気づけくらぶ代表2長谷川淳子さんです。今回ストレスがテーマですから医療介護系の我々に加えて、ストレス対策の専門家の方に来ていただきたいと思いました。いろんな視点からご意見をいただけると思います。よろしくお願い致します。本日のプログラムです。初めに私の方から介護ストレスに対応することの意義と家族・介護スタッフの気持ちを説明させていただきます。その後自己紹介、そして事例紹介にはいっていきます。介護が必要になった原因として認知症は非常に多く占めているようです。1位が脳血管障害で2位が認知症です。介護が始まってストレスが溜まって深刻な状況になりますと虐待につながってしまいます。2016年のデータですが、虐待は10年連続で増加傾向にあるようです。この場合は介護施設の職員による虐待でした。一方、家族や親族による虐待も増えています。殺人や心中とか、介護殺人という表現もありますが、介護を始めて3年以内が多いようです。介護は混乱期(混乱と否定)、負担期(疲労と絶望)、そして安定期を迎えて最後に看取期となります。最初の混乱期と負担期を乗り越えられるかどうかにポイントがあるのかと思います。次に介護者の気持ち(図1)についてです。

1 第8回テーマ「不眠、昼夜逆転にどう対応するか?」
2 新潟で、アドラー心理学に基づいた「勇気づけ」を広める活動をしている団体

1 : 介護者の気持ち

・日常生活に介助が必要になり「情けない」「腹立たしい」。
・介護に付きっ切りになり自分のやりたいことができない。
・頭の中では分かっていてもついイライラして手が出てしまう。

 

こちらの会報誌「ぽ~れぽ~れ」(図2)は認知症の人と家族の会(全国会)から毎月出されている冊子になります。

図 2 : ぽ~れぽ~れ

 

非常に内容が充実していて世界中の認知症の事情であったりとか、最新のトピックスとか専門職が読んでもためになるような内容です。この冊子には介護者の生の声がたくさん載っています。その中から少し紹介します。“日常生活に介助が必要になって情けない気持ち、腹立たしい気持ち。介護につきっきりになり自分のやりたいことが出来ない。頭の中では分かっていてもついイライラして手が出てしまう。”家族の会にアクセスする人ですからある程度認知症の知識を持っている方でも、分かっていても手が出てしまうという現状があるようです。ちなみに「ぽ~れぽ~れ」はスワヒリ語で「ゆっくり」「やさしく」「おだやかに」という意味だそうです。こちらのスライドはZarit(ザリット)(図3)という介護負担の評価バッテリーです。

: Zarit 8 介護負担尺度

・本人の行動に対し、困ってしまうと思うことはありますか。
・本人のそばにいると腹がたつことがありますか。
・介護があるので家族や友人とつきあいづらくなっていると思いますか。
・本人がそばにいると、気がやすまらないと思いますか。
・介護があるので自分の社会参加の機会が減ったと思うことがありますか。
・本人が家にいるので、友達を自宅に呼びたくても呼べないと思ったことがありますか。
・介護を誰かにまかせてしまいたいと思うことがありますか。
・本人に対して、どうしていいのかわからないと思うことがありますか。

 

これは認知症初期集中支援チームという医療・介護サービスまでまだ結びついていない、在宅におられる方のお宅に看護師や介護福祉士、リハ職が訪問させていただいてアセスメントした結果、介護・医療サービスに繋げるというチームが使っている評価尺度です。当然認知症の方の認知のレベルを測るテストもありますが、合わせて介護者の負担度を測るものでこれが選択されています。ですからこういった負担を感じているわけです。また最近では体験を書かれた書籍がたくさん出版されています。その中でもカスタマーレビューの良かったものをいくつか紹介していきます。

 

母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記

 松浦晋也 日経BP社

“親の介護は、いわば「自己責任」でするものという印象があった。「公的介護制度に頼ろう」という発想は、無意識のうちに忌避されていた。公的介護保険制度を使って介護する側が楽をできる仕組み”

 

がんばらない介護

 橋中今日子 ダイヤモンド社

“「がんばらない介護」とは、助けを求めること。苦しい気持ちを打ち明けられる人を見つけること。ネットの世界で発散する方法を見つける。仕事はやめる必要はない”

 

先程、介護離職の話に触れましたが、介護離職をされる方の多くは、職場に自分が介護している状況を最後の最後まで言えないで離職されていく方が多いようです。ですから一人で抱え込んで悩んで疲弊して寝不足になって仕事でミスが出て、でも上司はその事情が分からないから怠慢や能力不足だと思いどんどん溝が生まれていきます。最終的に辞める日になって、実は介護していましたと上司に打ち明けると、何故それを早く言ってくれなかったのかと、早く言ってくれれば何か打てる手立てがあったかもしれないと、言われたそうです。ですから1人で抱え込まず上司あるいは人事の人にあらかじめ相談する方が良いですよと。ただ特別扱いできないというのはありますから、介護休業、介護休暇というものをフル活用して、有給休暇をなるべく自分の為に使う。自分の時間を持つことも当然大切だということです。介護離職のデメリットとして、収入の面はもちろんあるとは思いますが、もう一つ、仕事を辞めた後は介護だけの生活になってしまう。そうすると自分の時間が持てなくなることも大変なことです。

 

ある日、突然始まる 後悔しないための介護ハンドブック

 阿久津美栄子 ディスカヴァ―・トゥエンティワン

“介護とは、日常に、無償の労働時間が増えるということ。家庭内の夫や子供たち、兄弟姉妹は介護の問題をなかなか共有してくれない。家族のできることを可視化する。認知症をもっとよく知る。高齢者トラブルから身を守る”

 

一人で抱え込まず様々な社会資源を活用しましょうということが上げられていて、大半は介護保険の制度ですね。今日はみなさんで情報を補給しあって効果的に発揮できるようになっていければいいなと思います。それでは事例の方に入っていきたいと思います。家族が抱えるストレスとスタッフが抱えるストレスの2部構成となります。家族が抱えるストレスの事例の方が多かったので先にこちらの方から始めさせて頂きたいと思います。では初めは布施さんお願いします。

 

家族の話を聞く

布施良友(川瀬・介) 私は通所リハビリで働いていますが、ご家族が介護サービスを利用する前の段階で見学に来られた時に、認知症の家族のことで困っていたけど、「どこに相談したらいいのか分からなかった」、「今日いろいろ話を聞けて良かった」という人もいました。すぐに相談できる家族もいますが、誰にも相談できずに困っている家族の方もいるようです。

川瀬神経内科クリニック 介護職 布施良友 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) ありがとうございます。何か原島さんありますか。

原島哲志(川瀬・介) そうですね。通所リハビリテーション樫の森の方だと送迎に行くのでご家族と会う機会が多いです。そこでご家族の方の表情とかで、ひょっとしたらだいぶ疲れているのかなとか、だいぶ溜まったいるのかなということが分かると、こっちからあえてご本人を車に乗せてから、「どうですか、最近」とご家族に声を掛けてあげると、ワーッと話してくるご家族がいたりとかあります。今は在宅療養手帳3が三条市にはあるのでご家族とのやりとりが出来ます。通所リハビリテーション樫の森はその前から特別にノートを作っていたので、そこに何ページも書いてくるご家族もいました。ちょっとした一言でだいぶ楽になったご家族もいました。

3 三条市では、医療や介護サービス等を利用しながら在宅で療養する方が安心してより自立した生活を送ることができるよう、本人・家族とサービス提供者の連絡のため、また、サービス提供者間で利用者に関する情報を共有するために「介護予防・在宅療養手帳」を交付している。


川瀬神経内科クリニック 介護職 原島哲志 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) それはそこで原島さんが(家族に)諭すような話を長くするわけではなくて?

原島哲志 そうですね。だから「また今度」という感じだったりとか、家族の会にお誘いしたりとか。

川瀬裕士 その先を示すのですね。ただ一言声を掛けて、またノートか何かに書き出すだけで半分くらい解決しているのかもしれない。だからそんなに時間を掛けなくても小さなアクションで大きな効果が生まれたこともあるのかなって。

川瀬敦士 そういう積極的なご家族とかはいいですけれども。施設としてご家族とのコミュニケーションという部分で工夫されている点とかはありますか。特別養護老人ホームとかグループホームさんも、入所してしまうとなかなか会う機会とかないですかね。通所とはまた違う性質だとは思いますが。荒井さんいかがですか。

荒井与志哉(特養・介) 私は以前デイサービスで働いていたので、今の入居型と通所型の家族へのアプローチの仕方にだいぶギャップを感じていて、(入居型は)会える機会というものがなかなかないので面会に来た時と電話でというその2つぐらいしかないので、家族と関わることはあまりありません。家族が抱えているストレスというのも探ることが出来ていないです。ただ良心的にちょくちょく面会に来て下さる方は、以前はこういう方だったとか、そういう情報を聞きながら、こちらの支援に繋げることは意識してはいます。なので、家族のストレスへのアプローチはなかなか出来てい ないです。

特別養護老人ホーム燕愛宕の園 介護職 荒井与志哉 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) なかなか入所になると接点も少なくなっているということですね。有坂さんはいかがですか。同じ事業所ですけど。同じようなご意見ですか。

有坂まさみ(特養・介) 私も以前ショートステイにいて、特養自体まだ2,3か月くらい。家族との関わりというのがほんとに少ないので。

特別養護老人ホーム燕愛宕の園 介護職 有坂まさみ 氏

川瀬敦士 グループホームの方ではどうですかね、Aさんいかがですか。

A氏(GH・介) いられる方は独居の方が多いので、ご家族にお願いして定期受診とかに行かれる際、迎えに来られた時に逆にこっちで情報を家族に伝えることの方が多いと思います。

川瀬敦士 定期的ではないけれどもそういう機会を見計らって伝えるということですか。

A氏 そうですね、受診のお迎え時とかに。

川瀬敦士 それは月に一回くらい?受診だからある程度の頻度ではあるわけですが。Bさんいかがですか。

B氏(GH・介) そうですね。やっぱりなるべくコミュニケーションを取りたいので、今ご本人様はこういう状態ですというような家族宛てのお手紙とか、そういうもので取ろうとはしていますけど、こっちから一方的な手紙でしかなくて、向こうからの返事がなかなかないというか、こういうことで悩んでいますという返しがあればいいのかなと最近は思っているのですが。そういう意味でグループホームに一回入られた方のご家族の悩みというのはなかなかやっぱり聞き取りづらいですね。

川瀬裕士(川瀬・医師) 老人ホームも、グループホームも家で見きれなくなった感じで行くところだから、家族はその時点である程度、距離的にも離れるし、時間も取られることがぐっと減っている。どちらかというとストレスが発生するのだとしたら、まさに今働いているホームの人達がその患者さんの対応でストレスを抱える番に今ここの場合はなっている。見きれなくなった家族のお願いで来ているわけだから。逆に家族との接点を家族が望まないかぎり持つ必要がどこまであるのかなと。ただスタッフさんでまだ働いて間もない人とかでストレス溜めちゃう人は、時間で交代はあるわけだけど、プロとして上手くその辺のストレスを処理出来ていないかもしれない。だから介護スタッフの虐待があるわけでしょ。

川瀬敦士 そうですね。ステージが在宅から介護施設の方に移ったから家族自身はそんなに日々の事にストレスを感じていないかもしれません。ただ家族との接点というところでは、認知症の人と家族の会の「ぽ~れぽ~れ」によると、施設が変わることによって対応も変わった時に施設の人とコミュニケーションをとって、家族から良かった対応の経験を伝えて育てていくような関わり方もあったということが書いてありました。もちろん全部預けたよっていう家族もいれば、やっぱり施設に預けてもお父さん元気かなって、前と同じ様に関わってもらいたいなって思う家族もいるわけで、そういう時にやっぱりコミュニケーションを取りたい家族もいる。そういう人たちの声を聴くことで今のその認知症の人を見ているスタッフのストレスを減らせることもあるかもしれませんね。ケアマネさんにもどなたか聞いてみましょうかね。佐藤さんいかがですか。

佐藤光美(CM) 家族の介護の悩みは日々聞いています。それが仕事なので。

介護支援専門員 佐藤光美 氏

早川直樹(家族・CM) 要はケアマネさんをどこまで信じているか、どこまでやってくれるのかというところでご家族とすれば迷うところがあります。結局はそうなるとケアマネさんって変えられないんですかという愚痴まで繋がっていってしまう。そのあたりの対応については、市なり包括さんのご紹介なりで調整を掛けて頂ければいいんですけれども、そのあたりが詰まってきてどうしてもというご家族の話は出てきますね。あくまでもそういうケアマネさんの場合ですとケアマネさん中心で動かされているというか、家族の話ではなくてシステマチックにやられていてそれに流されているところがあるのかなってちょっと思います。

認知症の人と家族の会 新潟県支部三条地区 介護支援専門員 早川直樹 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) (家族としては)施設よりもむしろケアマネさんが身近な存在になりますもんね。

川瀬裕士(川瀬・医師) 家族はケアマネさんとコンタクトを取りやすいという事で、ケアマネさんに傾聴してもらってストレスを発散させるっていうのはケアマネさんの業務の一つとして考えていいんでしょうか。

関崎敦子(居宅B・CM) ケアマネとしてはとっても責任重大だなと今ドキッとしました。重いのは確かですよね。たぶんケアマネの立場としても介護職と同様にストレスはとても大きいけど家族が一番何でも訴えられる窓口ではあるので、ケアマネの位置づけって大事なのかなって思います。ただ家族の想いを全部一気にというのはなかなか難しい。

川瀬裕士 関崎さんは今まで経験する中でバーッと最初のコンタクトから、またその後も行くたびに色々と言われる家族とかいたと思いますが。

関崎敦子 2時間コースの方がいらして、訪問に行くと2時間話を…

さわやか苑三条東 居宅介護支援事業部 介護支援専門員 関崎敦子 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) ご家族にお話をする時、自分の中でこの人にはこういう風に言うとか、決めているやり方とかルールとか、こういうことはしないようにしていることとかありますか。

関崎敦子(居宅B・CM) ただ今はそういう方にとっては受容しかないなと、受け入れるしかないなと。辛いんですよね、ケアマネに訴えるくらい辛いんですよねと。

川瀬裕士 時間の許す限り。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ある程度決めていかなければいけない部分もあるけど、聞き役に徹しないといけない部分もあるんでしょうかね。渡辺美佳子さんどうですか。

渡辺美佳子(川瀬・CM) 私は常にご家族の方とお話をする時に心がけていることは、ケアマネの主観を絶対に押し付けてはいけないということです。自分が良しと思っていることが必ずしもそのご家庭の中で良しではないというのを常に肝に銘じて話を聞く。聞く場合にも普通にふんふんと聞くのではなくて的確に何を訴えていられるのかを、きちんと言語化したりだとか。なかなか私も日々努力しているような状態ではありますが、きちんとした形で受け止めることを心がけています。

川瀬敦士 はい、ありがとうございます。ケアマネさんがそうして頑張ることでケアマネさんのストレスが溜まってしまうかもしれませんけど。ただそうやってケアマネさんも先輩のケアマネさんからアドバイスを聞けば家族の方ともコミュニケーションがうまく行ってストレスを溜めるケースが少なくなるかもしれませんし、どこかで割り切っていくってことも必要かもしれません。

川瀬神経内科クリニック 介護支援専門員 渡辺美佳子 氏

 

介護者間での認識のズレ

川瀬敦士 では、次の事例いきたいと思います。家族間での介護に対する認識の違いとそれを埋めることができないことがストレスになっているケースです。

布施良友(川瀬・介) 家の中で奥さんはこういう風に介護したいと思っているが若い世代からしたら違う介護サービスとかを使いたい。そういったことが家族のストレスになっている場合もあるようです。

川瀬敦士 どうもありがとうございました。

原島哲志(川瀬・介) 主たる介護者と、決定権を持っている人が違う場合によく起きますよね。介護しているのはお嫁さんだけれども、決定権があるのがおじいちゃんとか。そういう場合にこういうズレが起きてくる可能性があります。

川瀬敦士 認知症介護の意識のズレは、以前この会でもテーマになったくらいですからね。介護者のギャップをどう埋めるか。普段みている娘さんがなんで私だけって思っている、外にいる親戚や兄弟が口を出す。そこでギャップが生まれたりとか。この辺について服部さんここまで聴いていていかがですかね。

服部泰之(居宅C・CM) そうですね。あくまでも私の経験談ですが、長男の母、長男、長男の嫁となった時に長男さんと嫁の価値観が全然合わないとかありますね。お嫁さんは、「このサービス使いたい」、息子さんは、「それはいらない、そこはお前で出来るだろう」なんてことがあったりするので、どうしても違いを埋めることが出来ないということは現実にあると思うので、私もそういうところをみてどうアプローチしようかなというのは日々感じています。

あさひケアプラン 介護支援専門員 服部泰之 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) 外来でも連れてくる家族はいつもだいたい決まっているけど、その人の理解ともう一人家にいるその人以上に決定権を持っているかもしれない家族の間に考え方の違いがあったりする。なかなか外来について来ない人にはなかなか認知症というものがどういうものであるとかいう話が届かなくて。そういう場合はその方を外来へ呼ぶことがあります。結局三人から四人位で来る時とかあるけど、その中で誰が一番冷静に見れているかっていうのを見ながら、その人に皆の考えを合わせていくような感じで持っていくようにはしています。そこで初めてその日帰って家族の中でしっかりそのことに関して話す。クリニックの外来ではそういう動きはあります。それこそケアマネさんとかも家に行ってこの人とはいつもよく話してコンタクトを取るけど、他の人の話はちらちら入ってくるんだけど、そういった時にそっちの人の話を聞いてみようとかすることってあるんですか。

渡辺美佳子(川瀬・CM) 実際にあります。普段受診介助されている方は、運転ができるという理由だけで、普段は別居されているので本人の様子はあまり分からないとか。あっちにもこっちにもどちらにも連絡したりすることがあります。

川瀬敦士(川瀬・リハ) そうやってギャップを埋めることで1番頑張っている人のストレスを軽減させていくっていうことですね。関崎さんもそんな経験がおありですか。

関崎敦子(居宅B・CM) 往々にして上手くいっている家族というのはその辺の話が出来ているんですよね。なかなか出来ないところに限っていろんな方向から意見が入ってくるっていうのもあるので、その辺は「みなさんお話し合いましょうね」と私、逆に投げかけてしまうことがあります。「決定するのはケアマネじゃない。ご家族と本人です。もう一回みなさんでご相談して下さい」という風に家族にもう一回ふることがあるんですけど、今考えるとそれさえもストレスなんですよね、きっと。

川瀬敦士 高齢のご夫婦だけでは解決が難しいことがあったりする場合にはそのお子さんであったりだとか、若い世代を巻き込んでギャップを埋めていく。2人だけではなかなか話し合いでは解決できないケースもあると思います。自分の親が認知症になりました。でも元気な頃の親の姿を知っているから、いやこんなに悪いわけない、こんな介護サービスなんて必要ないって思う人もいますよね。

佐藤光美(CM) 母親を介護している息子さんがまだ出来るんじゃないかと。アプローチをすごくしているけど、冷静に見ているのはお嫁さんというケース。だいたい息子さんが母親のそういうのを受け入れられないというのが多いですよね。お母さんはこうであってほしいというのがありますね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) その場合ストレスに感じるのはお嫁さんでしょうかね。

川瀬裕士(川瀬・医師) 嫁さんが全部世話するから、その夫である長男はあまり理解がないっていうのはよくある。

荒井与志哉(特養・介) あと入居型の施設だと延命治療について、医師が入居する時に確認をとりますが、緊急時に胸骨圧迫をしていいのか、救急車を呼んでいいのかというところで、息子さんとお嫁さんで意見が分かれてしまって。実際にこっちはもしそうなったらどうしようとか考えますね。そこが家族のストレスに対して介護がどうしても介入できないところなのかなって思っています。

川瀬敦士 決まらない、定まらないこともあるっていうことですね。

荒井与志哉 そうですね、夫婦で。

川瀬敦士 病院なんかだと方針は先生に伝わるよね。

川瀬裕士 病院だと家族を全部呼んで「決めて」って言って、「それを総意としてとるから」と。ある程度病院の圧力というかで、家族の中でのもめ事はいいから、「とにかく1個だけ結論を出してくれ、それに沿うとカルテに残すから」って。「それ以外のことは受け付けない」という感じで言えるけど、ただそういう細かいギャップも出てくるってことだと思う。

 

地域差 介護サービスが利用できない

川瀬敦士 次いきたいと思います。空きがなかったり近くになかったりして使いたいサービスが利用できない。資源そのものがないなんてことも、本間さん地域によってもありますもんね。

本間友子(行政・保) 包括支援センターで地域課題ということで話をしている時に、やっぱり下田地域4だけは選べるそもそもの資源がまずそこがないので、そこをどうしようかというところの部分がありますね。他の地域とは抱える課題、特性が違うのかなという感じはします。行政として何が出来るか…。

*4 三条市の南東に位置する山に囲まれた農村地帯

早川直樹(家族・CM) 荻堀までだったら何とかできるんですよね。そこから奥になるとないんですよ。荻堀地区まででしたら旧三条地区のみなさんが車で来て下さいまして、運んでくださるんですけど、そこから奥に関しましては手が出せない状態ですね。

三条市 福祉保健部 高齢介護課 保健師 本間友子 氏

川瀬裕士 燕、加茂、分水、吉田とかはどうですかね。

坂井美和子(川瀬・看) 介護サービス提供施設はあります。

川瀬神経内科クリニック 看護師 坂井美和子 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) そこまでの偏在はない。下田の奥が距離的に圧倒的なのかな。

坂井美和子(川瀬・看) そうですね。

早川直樹(家族・CM) 下田にはないです。

川瀬裕士 下田だけ奥が長いんだ。

坂井美和子 その先がないからね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) それをだから通所介護がないから、通所リハビリで代替えしているとか聞きますもんね。

本間友子(行政・保) 特に災害とかがあった時に、どこにその方を避難させるのかといった時に、下田の場合だと限られてしまって、特に認知症の方が避難所にいるってところの中で離した方がいいよねって時に選べる場所が限られてしまうところの部分で施設の負担もあるのかなっていう課題があると思います。

布施良友(川瀬・介) 下田の方も通所リハビリの迎えには行っていますが曜日の指定とか、車の関係の指定もありまして、全てが思うように受け入れられない部分もあります。

川瀬敦士 そうですね。施設はあっても空きがないという問題もあって、ショートステイが特養化していってしまってショートステイ自体が少なくなっているような地域もあるようで、そういったようなところは特に3月とか行事が増えるような時期になると密度が濃くなって空きがないとかそういうようなものもあるようですけど。

 

役割が多い→情報共有

川瀬敦士 では次いきますかね。嫁ぎ先での役割と実家での役割、優先することが重複するというストレスです。

早川直樹 要はダブル介護しているってことですよね。

川瀬敦士 高野さんどうぞ出番です。

高野理香(デイサ・介) 実際、「義理のお母様を介護しているんだけど、デイサービスに送りだしたら実家のおじいちゃんをこれから見に行くんです。だから何時までに来て下さい」というのがありました。「帰りもまたくるので出来れば遅く送ってほしいです」、「分かりました」というのはよくありますね。そういう方が何人もいらっしゃいます。

川瀬裕士 物理的なストレスと、本当は協力できる人がいるのかもしれないけどその協力を十分に得られていないっていうストレスだよね。

高野理香 あとは家事もしているお嫁さん。多いですよね。全てやっちゃっているお嫁さん。きっと出来る方なんでしょうね。顔がすごく疲れていらっしゃいます。すごいそれがストレスだけど、吐き出す場がないからっていう。だから究極的に困るとショートステイにいってもらうしかないっていう方が結構いらっしゃいます。
はあとふるあたご デイサービスセンターさかえ 介護職 高野理香 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) パンク寸前まで頑張って。

高野理香(デイサ・介) そうなんでしょうね。きっとね。

川瀬敦士 やっぱり頼られる方は頼られてしまう。他にできる人がいないから集中してしまうんでしょうね。どうですか山寺さんここまで聞いていて。

山寺忠之(薬局・薬) そうですね、なかなか私たちの仕事では遭遇することは少ないかなって思いますけど、訪問しているお宅の中ではご家族とお話する機会はあってもなかなか話しをしてくれない方はおそらく介護のストレスを我々に話すことによって多少は解消することが出来るのかなって思いました。

メッツ嵐南薬局 薬剤師 山寺忠之 氏

川瀬敦士 なかなかその状況自体を変えるって難しいですけど、話して頂く、聞き役に回るってことも大事なんですね。

山寺忠之 そうですね、少しはそういうことで役に立っていればいいんですけれども。

川瀬敦士 元気なような顔をして、施設に面会に来られたり迎えに行った時に会っても、背景ではそういう苦労をされているってことを分かった上で関わっていくことが大事なんでしょうね。坂井さんここまでで何かありますか。

坂井美和子(川瀬・看) さっきのものと被りますけど、嫁ぎ先と実家の介護をして、とてもストレスが溜まった時にはショートステイに行くというケースで、そのショートステイがない時もありますよね。そういう時にはどうされるのかなっていうところと、そのお嫁さんのストレスは実際にどんな言葉が聞かれるのかなっていうところが聞きたいなって思いました。

高野理香 だいたいそういう方って何ヶ月も前にショートを組んでいらっしゃる方が結構多くて、お出来になるお嫁さんも何人かいらっしゃるので、全部組み込んでこの日この時はショート行くから、この時やっちゃうみたいな感じでやって、後はデイサービスいっている間にちょっと私出かけてくるのでいいですかとかという風にしてらっしゃる方もいれば、抱え込んでデイサービスの職員が迎えに来た時にバーッと言って、「だからあなた達に何かしてくれってことじゃないんだけどね」みたいな感じでバーッとおっしゃって終わりって方もいらっしゃれば、それはいろんな方がいらっしゃるので。私たちは「はい、そうですね」と言ってケアマネさんにすぐ連絡します。だからショートが空いていない時は、もしだったら言ってこられた場合は追加もできますよとか、デイサービスは昼間だけなんですけど、それでも空きあるのでもしだったら利用いいですよとか言って声掛けをするようにはしています。すぐケアマネさんに連絡します。

坂井美和子 連携が大切ですね。

高野理香 そうですね。さっきおっしゃっていましたけど表情とかお家の方の疲れ度合とか迎えに行くとすぐ分かるのでそれを見るようには職員はしています。バーッと言ってくる方はだいたい言ってすっきりするのですけど言わない方はだいたい表情に疲れた感が明らかに出ているので。

坂井美和子(川瀬・看) 即ケアマネさんに連絡して、「疲れているみたいだからフォローして下さい」みたいに言って。

高野理香(デイサ・介) 疲れているみたいですって。どうにかして下さいと言ってもケアマネージャーさんも忙しいので、すぐどうにか出来る訳ではないので、それを「疲れているみたいですよ」っていう風に情報提供します。情報提供だけしておいて、とりあえずうちの方でも、もしだったら受けるのでいつでも言われたら教えて下さいってケアマネージャーさんに言ったりとか。

川瀬敦士(川瀬・リハ) それ教えてもらいたいものですかね、ケアマネさんも。嬉しいですよね。いきなり行って不機嫌な状態になっているよりは。

渡辺美佳子(川瀬・CM) もちろん。

関崎敦子(居宅B・CM) ケアマネって一月に1回が基本ですよね。だからそういうデイサービスとかいろんなところの連携とか情報頂くことがとっても有難いですよね。

川瀬敦士 ストレス解消の1つは連携ですよね。今良い意見が出ました。ありがとうございました。

 

お金の問題

川瀬敦士 では次にいきますね。お金がない。理想の介護プランはあるが経済的に全てを網羅することができないストレスです。結果、介護プランは理想的だけれども望む介護プランに出来ないということがあります。所得に応じて介護負担を軽減するものってありますよね。こういうものが適用にならない微妙なラインの人が結構いるってことですかね。ケアマネさんに聞いた方がいいかな。そういうことありますか。渡辺美佳子さん。

渡辺美佳子 はい。それぞれのご家庭の事情だったりとか、収入があっても支出の部分が多くて、介護にお金がかけられなかったりとか。抱えていらっしゃる問題というもの、経済的なものは様々なので、お金がなくて使いたいサービスが使えないっていうのは常に悩みとしては抱えてられます。

川瀬敦士 収入があっても、その分それにあった生活をしてきているわけですからね。そこにプラスアルファ―掛かってくるものってなかなか出しづらいものがありますよね。おむつの補助券とかいろいろあるとは思うんですけど、そういったものを使ってもなかなか難しい部分もあるということですね。

渡辺美佳子 年金は下がる。介護保険料は上がるので…。

川瀬敦士 そんな中でも節約介護プラン方とか、いい方法で組めればいいのですけれどもね。そういうわけにもいかず苦労される部分ですかね。何かいい手はないですか。

坂井美和子 あさひケアプランの渡辺さんに聞いてみたいなと思って。

渡邊知美 経済的な問題ということですよね。代用できるもの、例えば皆さん全員が全員ベッドが必要なわけではないので削れる部分だとか、本当は本人がベッドじゃなくてお布団がいいって言っているけど家族がやっぱり安心だからベッドにと言うのだったら、そこは減らせる1つかなとは思います。本当に本人がしたいこととか、介護の為のサービスでは本来はないところだと思うので、その辺でもう一回アセスメントをして、本当に必要なものだけ使えるように出来れば1番理想ですけど。お金がないお家もお金に対しての考え方。1万円が高く感じるお家と安くポンと出せるお家といろいろあるので、このくらいお金がかかるという説明がしっかりと出来れば、このくらいだったら出せますっていう風にご家族も納得されるお家もあるにはあるので。上手く説明が出来れば。本当に根本的にお金がない家は、いろんな制度を使いつつかなとは思います。

あさひケアプラン 介護支援専門員 渡邊知美 氏

 

認知症の人の訴えを聞くストレス→心構え

川瀬敦士(川瀬・リハ) はい、では次にいきたいと思います。ではこれは渡辺さんですね。お願い致します。

渡辺美佳子(川瀬・CM) この方は要支援1の女性の方です。周りの家族、同居の家族と別居の家族も含め、本人の言動に振り回されていることにストレスを感じているというケースです。サービスを利用することになって、事業所との料金支払いの銀行の振込み用紙に記入することになったのだけれども、ご本人が担当者会議の時には説明を受け、その時は分かったつもりでいたのですが、後日記入しようとしたら説明された内容を忘れてしまってパニックになったようで、別居の娘さんに電話して、そこがまた正直に忘れたって言えない方で手が震えて字が書けないということで突然言ってきたので娘さんは何のことか分からなくて非常に困っていました。自分で出来ないことに対して素直に助けを求めることが出来ない方で、家族は本人との関わりに最近ストレスを感じ始めているというケースです。

川瀬敦士 はい、ありがとうございます。この事例に対して何か質問、ご意見はありますか?

川瀬裕士(川瀬・医師) この女性の方は認知症ですか?

渡辺美佳子 鬱病があります。

川瀬裕士 認知症としては軽度だということなんだよね。自分の考えもあったり、個性やこだわりもある感じなんだよね。たぶん認知症がひどくなればなるほど、普通の会話が出来なくなるわけだから、患者さんが言うことに対してその人の言う事をまともに聞いてもしょうがないと最終的にはなることが多い。家族の顔も分からないくらいひどい認知症になれば。ある程度認知機能が残っている人ほど言っていることが一部正論も時々あったりするから、そうすると周りが苦労する。たぶんこのエピソード以外にもたくさんあるわけでしょ。

渡辺美佳子 そうです。

川瀬裕士 だから家族が苦労している。他にどんな困ることがあったかって今何か思い出せますか。今1個のエピソードだけど、たぶんこれだけじゃないと思う。だから家族も困っている。

渡辺美佳子 すぐ死んでやるとか、そういうことが過去には多かったようです。

川瀬裕士 そういう風に言われても困るっていうのはあるよね。暴力とかがあるわけではなくて、いろんなことを言ってくるってことなのかな。

渡辺美佳子 そうですね、言葉ですね。

川瀬裕士(川瀬・医師) 家族としてどう対応すればいいのか、対応そのものにストレスがあるってことだよね。

渡辺美佳子(川瀬・ⅭⅯ) 関わることに対して、かなりストレスを感じているので、出来る事があるないに関わらず。家族自身の精神状態もいい時でないとご本人の話が聞けないくらいになっているので。

川瀬裕士 逆に、家族の誰か一人とか友人でもいいのだけれども、この方に対して上手に応対出来ている人っていますか?

渡辺美佳子 今のところは聞いていないです。

川瀬裕士 たぶんこういう大変な人はいるし、でもその人は認知症であったとしても精神疾患であったとしても病気でそういう言動になってしまっている。あるいは性格とかだよね。なかなか変えられないものがあって周りの人が振り回されて困っているというパターンだけど、ほとんどの人がその方に関しては苦労するっていうケースだと思うんだけど、介護ストレスにどう対応するかっていう今回のテーマで言うのならば、なかなかこの方に対してストレスなく対応できる人っていうのは珍しいのかもしれない。こういう風にかなり嫌なことを言ってくるとか、いろんな困ったことがある人でもどうやったらストレスを溜めずに一緒に過ごせるかみたいなのを長谷川さんに聞いてみたいです。

渡辺美佳子 いろんな立場の方からご意見を聞きたくて出しました。

川瀬裕士 一緒に過ごさなくてはいけない時間もあるし、世話をしなければいけないこともある中で…。

長谷川淳子(くらぶ・SC) 周りの人だって別に悪い事してやろうと思ってそういうことをしている訳ではないし、ご本人も悪い事してやろうとは絶対に思っていない。でもそこでギクシャクしてしまうところはお互いに心苦しくなってしまいますよね。たとえ病気だと思っても嫌な言葉を投げかけられると傷つきますよね。その傷ついた心が溜まっていくと本当に家族自身も心が疲れ切ってしまう。それが積み重なっていろんな方の話を聞いている方たち、対応している方たちとか家族の方たちも疲れ切ってしまうと思うので、さっきから皆さんすごくいろんな方たちに話を聞いていらっしゃるんだなというのはとても感じましたし、素晴らしいなとは思ったんですけど、やっぱりその話を聞いてくれる人が誰かいるっていうのが大きいのだろうなと。あとは大したことじゃないことにも、たとえば「言ってくれてありがとう。話してくれてありがとう」と家族が皆さんに話を愚痴みたいな感じで言ったとしてもそれは皆さんに心を許して言えたのだと思うので、それはどんな言葉であっても気持ちを聞かせてくれてありがとうって受け止めてもらえると、それだけでこの人は私の事を分かってくれている、味方でいてくれるっていう風に感じるっていうのは、寄り添ってもらっていると感じるのではないかなと思うので、たぶん皆さん普段もやられているのではないかなと思いますが、「話してくれてありがとう。その気持ちを抱えていたんだね。気づいてあげられなかったけど今話してくれて私は嬉しいよ」と話してくれたことがありがたいし嬉しいよ、一緒に考えようと寄り添うというのは状況がすぐ変わらないことであってもちょっと心が少し楽になるのではないのかなと思います。

にいがたアドラー勇気づけくらぶ スクールカウンセラー 長谷川淳子 氏

渡辺美佳子(川瀬・CM) ありがとうございます。今ご家族がご本人の話を聞いてあげているっていう言葉で表現されていたので、話してくれてありがとうっていう、そういった心の構え方では聞いていなかったのだなと、今ほんとに聞いてやっている、聞いてあげているとかそういう言葉を使っていました。

長谷川淳子(くらぶ・SC) それだけ聞くことも多いでしょうし、やっぱり大変だとは思いますが、やっぱりそういう風なことを返してもらうと、より聞いてもらっている感があるのだと思う。

渡辺美佳子 ぐっときました。

川瀬敦士(川瀬・リハ) そうですね、否定から入らず肯定から入る。なかなか出来ていないことですもんね。ありがとうございます。こうやって対応をしていければと思います。

 

余計なことをする人に対して

川瀬敦士 では次の事例にいきたいと思います。これはあさひケアプランの渡邊さんお願いします。

渡邊知美(居宅C・CM) 認知症の診断がついている方で、例えば電気毛布を洗濯機に入れてしまったとか、炊飯器を水洗いしてしまったとか、本人がいいか悪いかの判断が出来ない行動をした時にご家族が「なんでしたんだ」と問い詰めてしまって、認知症の症状をご家族が理解できず問い詰めてしまって、結局本人にもストレスになるし家族もなんでやったか理解が出来ないのでストレスになる。それで口論になってご家族からこっちの方に愚痴というか話がバーッと出てくることがありました。

川瀬敦士 ありがとうございます。それは戸惑い、混乱があるとは思いますが、ご家族の方々っていうのはどういう過程で理解に進んでいく人が多いのですかね。

早川直樹(家族・CM) 自分と同じ立場にいる方々の話の中で、愚痴合いながらという部分が多くなりますかね。たぶんそれの繋がり方についても上から目線、下から目線ではなくて同等の目線からであった方とお話したところで、「あ、私だけではないんだな」と気づいたところでようやく高ぶっていた心が落ち着いてくるのかなということになるのかと思いますね。周りから上から下からということになってしまうと全然ついてこないということですね

川瀬敦士 そうですね、専門職から言われるよりも同じ介護をしている、分かる者同士で話をした方が入りやすい。

早川直樹 専門職の方もここまでのレベルまで降りてきてもらえればと思いますね。

川瀬敦士 上から言うような言い方ではなくて。これは医師の立場としてもこれは病気によるものだということで家族に話を説明する場面もあるとは思うのですけれども。

川瀬裕士(川瀬・医師) 実際問題、本当にそんなことされたら一緒に介護している人は大変だなという人に関しては正直僕もその人の気持ちを理解することは全然出来ないから、それは大変だねとしか言いようがなくて。下の世話で弄便、便をこねくり回して変なところに片づけるとか、そういうことをしょっちゅうやられてしまったら、どんな良い心構えがあって介護に取り組んでいようとも、次の日にどんな楽しいことがあろうとも、それをかなりの頻度でやらなければいけない人に対して掛けられる言葉は一つもないから言えないんだけれども。この場合はその人にこういう風にやればいいんだよとかではなくて、介護サービスを多く使って下さいとしか言いようがない。あなたの手を放すしかないから、物理的な大変さを何とかしないと。例えばこれは暴言暴力もそうだと思うんだけど、もうどうしようもないんだよね、その人は。だからそこは介護のプロにやってもらうようにするしかない。どのスピード感で入院が必要なのか、ショートステイでいいのかとか。そこの連携がうまくいくようにケアマネさんやいろんなところと協力しながらやっている感じだけどね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 認知症の理解を得るなんてよく言われていることですけど、それを知ることによって、そうなのかって、その時は思えてもずっと続くものだから分かっていても手が出てしまうということですよね。

川瀬裕士(川瀬・医師) 結構軽い段階の困った行動とか同じ事を何度も聞いてくるということに対してストレスを溜めちゃう人とかは、ある程度考え方次第でストレスを手放すことが出来るような気がします。要するによくあるのが「3分前とかちょっと前に言ったことなのにもう忘れるんですよ」って言うけれど、その3分前が短いという概念は認知症を知らないからであって、それが3分前であろうと3日前だろうと4日前だろうと同じ短期記憶の中に入るからそもそも新しい知識がその瞬間から数秒くらいは入る即時記憶というのがあるけれど、それ以上はすでに記憶に残っていない。だから忘れちゃったというか新しい記憶を入れることが出来ないのだから、ちょっとそこは理解が違うよって言って。反対に、「同じことを何回も言われていますけど、これはいつものことなので別に何とも思いません」っていう介護家族もいる。だからそこでストレスを溜めちゃっている人には何とかしてもう少し考え方とか受け止め方を変えて、楽に介護をしてほしいなと。いい意味での開き直りと諦めなんだけどそれが上手くできる人となかなか出来ない人、求めているものが多い人がいる。そういう人には何とか伝えようとするけど上手くは伝えられてないとは思うけどいろんなところでみんながやっているのかなと思う。さっきの異常行動とかは本当に大変だからこれは違う力を使って下さいって言うかな。

川瀬敦士 例えば徘徊を例にとっても、それは何かを探している行動で本人にとっては意味のあることだと言われる。101つは問題を本人が探しているものを身近に置いておくとか何かが解決することもあるかもしれないけれども、長く続くことだから物理的環境を変えていかなければいけないということも必要になってくる。

 

介護と仕事を両立しなければならないストレス 送迎時間の調整

川瀬敦士 次にいきたいと思います。高野さんお願いします。

高野理香(デイサ・介) 仕事を持っている家族が多く、仕事と介護の両立が大変だという話をよく聞きます。昔と違ってお仕事をしているご家族の方が多いです。だいたいお迎えに行くとご家族の方がいらっしゃらないことが多いので大変なのだけれども仕事は辞めたくないだろうし、でもおばあちゃんは見ないといけない、大変だという話をよくお聞きします。あとは、キーパーソンの方が一人で、お嫁さんだけがやっているという方も多いのでそれに対してちょっとでも力になれればいいなあなんてことはよくあります。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 何かいい対応策はありますかね。経験した例などで。仕事との両立ですよね。なるべくサービスを使ってやれればいいんでしょうけれども。仕事と両立していく上で一番何がハードルになってくるのですかね。

高野理香(デイサ・介) 私はデイサービスなので、昼間の一時だけなので、朝の送り出しが大変、帰ってきた後のおばあちゃんの言動が大変っていうご家族がすごく多いです。デイサービスから帰ってきた時に、家のこともしなければならないのに、おばあちゃんが興奮して訳の分からないことばかり言っていて、「昼間デイサービスでいったい何をしてきたの?」と言うご家族や、「朝なかなかじいちゃんが起きなくて、支度が全然出来ないんですけど、パジャマで行ってもいいですか?」とか言うご家族もいます。大変なんだろうなと。そういう時は「パジャマでもいいですよ」って言ってあげたりとかするんですけど、なかなかそれが毎日毎日だとお家の方も大変だからそれに対していい助言の仕方とかあれば。サービス使って下さいというのは簡単ですけど経済的に利用できない方ももちろんいらっしゃるでしょうし、「お金がないけれどもこの時間ぎりぎりまでいてください」とか言う方ももちろんいらっしゃるので、「5時半に送ってきてください」とか、「1時間延長してください。けれどもこの時間を超えるとお金がかかるのでこの時間は入れないでください」とか、「朝もう少し早く来られないですか、730とか」って、「730はちょっとね」とかということをおっしゃる方が多いので結構疲れてらっしゃるんだなと。そういう時に上手く声掛けが出来れば、お金では解決できない部分もあるとは思うので、そこで上手く声掛けができればいいかなという部分もあります。

川瀬敦士 そういうのってある程度対応できるものですかね。通リハのスタッフとしては原島さん。送迎の順番とか。何か対応したケースってありますか。

原島哲志(川瀬・介) そのレベルで調整できるのであれば。最後に送るとか、その程度でいいのであればいいのですけど、たぶんそれ以外の時間だと思うので、そうなってくると別途料金が発生してしまうということもあるだろうし、延長ということになれば。朝も早く迎えに来てくれという、そういう方が10人いればありがたい話かもしれないけど12人くらいだとなかなかどうなのかな。

 

立場・見方を変える

川瀬裕士(川瀬・医師) 介護のやり方というか技術に関しては、準備に手間取ったり、帰ってきた夜が大変とかあるわけですが、それこそ今までずっとこの会でやっていたテーマで、介護技術やテクニックということなんだろうけど、もうちょっとこんなふうにやれば朝の準備もそんなに苦労せずに出来たり、夜ももうちょっと上手く対応出来るようになったりというのを、伝えたくなるような家族とかはいますか?この人はあんまり対応が上手ではないなとか。

原島哲志(川瀬・介) どっちかというと、「じゃあいいです。我々が行ってからします」って言う、そういう方もなかには正直います。

川瀬裕士(川瀬・医師) まあ逆にすごく上手にやっている人もいるんだよね。

原島哲志 そうですね、あとその時間、送り出しの為のヘルパーさんを30分入れている人もいます。あと受け入れのヘルパーさんを入れている方もいます。

川瀬裕士 やり方とかもあるかと思うけど、上手な人がやれば朝の対応、夜の対応、もう少し上手く出来ることもあるけど、家族は我々が思うよりも、上手なやり方を知らなくて、苦労しているという人もいるのかなと思うので、そういう方に伝えていけるといいなと思いますね。パターンみたいなものもあるのかなと思いますが…。

原島哲志 昔ものすごくストレスを抱えていたお嫁さんがいて、我々とノートを長文でやりとりしていた方がいましたが、ある日、「分かりました、私が介護スタッフになればいいんですね」と急に変わって。

川瀬裕士 家族として介護するのではなくて仕事としてやっているみたいな感じでなりきる。

原島哲志 我々と同じような感じで、「名前で呼んだらすごくスムーズですね」、みたいな感じの人はいました。

川瀬裕士 自分の立ち位置というか、ちょっと頭の中の見方、視点を変えるだけでストレスが変わるということはあり得るよね。だからその嫁の方はちょっとドライに見れるようになったんだよね。

原島哲志 そうですね、おじいちゃん、おばあちゃん2人で来ていた方なので、2人を介護しないといけないっていう人で。

川瀬裕士 切り替わる部分というか引っかかっている部分が取れた可能性があるんだよね。

原島哲志 そうですね、自営業だったのでなおさら自分だけが見ているような感じで。

 

伝わらない、伝えられないストレス

川瀬敦士(川瀬・リハ) はい、では次の事例に行きたいと思います。ここからスタッフが抱えるストレスです。サービスが入ることで本人にとって良い状態が作れると思われるがご家族がストップをかけている。認識不足、病識不足。必要ないだろうと家族が言っているというようなことですよね。これはまだいいかなとかね。

布施良友(川瀬・介) サービスを勧められた場合とかはご家族様から拒否までではないですけど、本人がまだ必要と思っていないからいいかなという方はいらっしゃいますね。見学に来ても、「こんな感じだったらまだ家で畑してるっけいいんじゃねーかな」とか、「まだお茶飲み歩いているしもうちょっと様子見るよ」という方もいらっしゃいますし。

川瀬敦士 こういうストレスってあるのかな、スタッフとして。ありますか?うなずいてらっしゃいますけど。

荒井与志哉(特養・介) 食事形態について咀嚼も嚥下も機能が低下している方に対して、こちらは刻み食よりムース食を勧めるのですけど家族がかわいそうと言ってこっちが発信してもなかなかやってくれない。こっそりこの間も部屋で肉まん食べさせて窒息したということもあったんですけど、やっぱりそういう専門的なアプローチをしようとしているけど、かわいそうとか感情的な部分でぶつかってしまう時はありますね。

川瀬裕士(川瀬・医師) プロだから、それを伝えていくのが我々の仕事なんだけど、だけどなかなかそれを理解してもらえない、届けられないストレスはある。ケアマネさんもそれはみんなあると思うんだよね。

製薬会社 家族がもういいですと言ったらそれ以上はもうみなさんの方では特におすすめはしない感じですか。

荒井与志哉(特養・介) アプローチし続けますね。「かわいそう、かわいそう」でたぶん一番かわいそうなのは咀嚼もできないで刻みを飲み込まされている本人だと思うので、そこはやっぱり最後まで根拠も立てて説明しようとしています。

製薬会社 ありがとうございました。

川瀬敦士(川瀬・リハ) なるほど、本人の意思もはっきりと表示できなかったりということもあるでしょうしね。

長谷川淳子(くらぶ・SC) 例えばですけど、ご家族が望まれることと、みなさんがやりたいことが違ってストレスを感じていらっしゃる時というのは専門的なアプローチでお伝えし続けていくという風に、それはすごい努力だなと思うんですけれども、例えば家族の想いとかっていうのはお聞きしたりしますか。家族が何のためにこういうことをするのか、家族が前好きだったものだから食べさせたいとかそういう思いとかってお聞きするんですか。

荒井与志哉 聞かせて頂きます。

長谷川淳子 そうされると結構家族の方もそういう話は出てきますか。

荒井与志哉 出てきますね。

長谷川淳子 そういうところで共感とかされると家族の方とより話が進むとかは…。

荒井与志哉 その話合いがあってから具体的にリスクだったり、グループホームで働いたことがあるんですけど、実際その時に検証したことがあって、刻み食を噛まないでそのまま飲むという研修をして、「すごい難儀だね」、「そうなんですよ」という事をやって納得して頂いたことはありました。研修を交えながら。

川瀬敦士 体験しないと分からないこともあるでしょうし、あともう一つ共感というのもやっぱり専門家からそれが正しいだろうよということを言われてもなかなか納得できないっていうのがある。それを1回共感した上でこれがいいという選択を一緒にしていくことが大事なのかなと聞いていて思いました。

川瀬裕士 僕とか看護さんとか、認知症の人がいた時に、「デイサービスとか、デイケアに行きましょう」、「交流したり脳を刺激することはいいんだよ」と説明する。でもなんか面倒くさいのもあるだろうし、デイサービスとかデイケアとか介護保険サービスを自分の親に使わせるなんてそもそも可哀想だとかね、いろんなことを言う人がいます。でその時にこっちの医療者、介護者が抱えるストレスというのは、自分の中で信念があって言っているんだからなんとかしてその人に伝えないといけないんだっていう責任感みたいなものがあったけど、結局上手く伝えられなかったというストレスだよね。これは私も思うことだけど、自分のやり方も足りないし、技術も足りないということもあるのだけど、それを受け入れられる状況にある時とそうでない時もあるし、それを受け入れられる心の余裕がある人とない人がいると思う。その時に私もストレスを感じることはあるけど、でもそれは「今日はダメだったな」と思えば、その人の状況もあるから。ある程度のことを限られた時間の中で毎回やりつくしています。それでも必ず届く訳ではないと思っても良いのではないのかなと。もしそこでストレスを感じるのだったらね。本当はこういうことを伝えていかないといけない、認知症のことを正しく理解していない家族にこのことを伝えないとって、本当に困るのは認知症の人本人と家族だからっていうね。その時の自分の能力で出来ることをやって、精一杯説明して、届く時と届かない時がある。また次にやったらいいのかもしれない。みんなそれはあるんじゃないかな。伝えきれなかったという。

川瀬敦士(川瀬・リハ) リハビリでも、この人には杖が必要だと思う、装具が必要だと思う。でもその人にとっては杖なしで歩きたいと言う。QOL、価値観が違うから専門職が良いと思うゴールは分かっていても、それを患者さんに突きつけていくっていうのは上手くいかなかったりする。

川瀬裕士(川瀬・医師) 自分が精一杯やって、ダメだったらまた別の人がやるとか、次に自分が上手く伝えられるとか、意外なところで伝わることもあるぐらいの気持ちで今はやっています。

川瀬敦士 伝えるって難しいですね。

 

足りない時間の中でやりたい介護が出来ないストレス

川瀬敦士 次にいきます。高野さんお願いします。

高野理香(デイサ・介) 私は現場で働いていますが、介護保険って配置基準とか決まっているじゃないですか。デイサービスも利用者の方○人に対して介護職が○人、相談員が○人、看護が○人と決まっているのですけれども、カツカツに配置をしているのでやらないといけないことがすごくいっぱいあって、でも認知症の方が帰ろうとしているとか、立ったから行かなければいけない。でもそうすると、やらなきゃいけない事務作業とかが出来なくって、職員のストレスがちょっと大きくなる日が多いのでごく大変ですね。かつ体調を観察しないといけない方、がんのターミナルの方が利用していて、かつその方が認知症でそういう方の対応をしないといけない。看護さんがとられて、「いやーでもこっちでも具合悪い人がいる」とか、「そっち行ってて」とか、すると電話が鳴って「あー電話」とか、そんなこと言っていると「お客さんが来ている」とかそんなことが毎日あってすごく神経を使います。なのですごく疲れるんですよ。うまい仕事の振り分けの仕方とか。

川瀬敦士 配置基準を満たしているんだよね。

高野理香 配置基準を満たしています。満たしてはいるんですけど、ぎりぎりに配置をしているので。余剰に配置をすることが出来ない。なのでそこらへん皆さんどう上手くストレスに対応しているのかなって。

川瀬敦士 そうですね、これは介護職の人に話を聞いていきましょう。Bさんいかがですか。

B氏(GH・介) それはほんとにあるあるな話だと思います。例えば利用者さんとの関わりでもこうしたいという欲とか目標はあるんですけど、雑務とかに追われてそれができないということは多くて、それがストレスになるということはとても多いですね。ただもう一人人員を増やすわけにはいかないですから、どこもカツカツの配置でやってなるべくそれでなんとかしなきゃということで、その中でも本当におっしゃる通りで、「あ、電話が鳴った」とか「あ、あの人が立ったから走って行かなくてはいけない」とかそんなのやっていると今日この利用者さんともうちょっと話がしたいのになっていうのが、簡単にいうとそれが出来ないというそういうストレスが本当に多いです。

川瀬敦士(川瀬・リハ) それをBさんはどのように解消していますか。

B氏(GH・介) 短い時間でもその利用者さんと今日はこうこうでしたとか、ご飯どうでしたかとか、ほんとに一言二言でも話せたら良しとしようと自分で納得するしかないかなと。

川瀬敦士 ありがとうございます。Aさんいかがですか。

A氏(GH・介) 同じような考えですけど配置がカツカツですと、最近もあるんですけどやっぱり転倒のリスクが高い人とか、目が離せない人ですけど、やっぱりあっちこっち業務に追われると「アーッ」て走って間に合わないで転倒まではいかないですけど、ひやりはっとみたいなことがやっぱりあったりするので、なるべくなら無くすことは出来ませんが、気配りとかいろいろしている中での、ストレスを解消というか、職員同士、休憩室で「なんとかならないのかね」とか、そういう会話が飛び交う時が結構ありました。対処法は特に無いんですけど、解決がない分、職員同士で「またこうなったね」、「まただね」と同じような会話を繰り返されることは結構あります。

川瀬敦士 ありがとうございます。有坂さんいかがですか。

有坂まさみ(特養・介) そうですね、職員がバタバタしていると利用者の方も落ち着かなくなるっていうのが、見ていて思うので、気持ちに余裕を持つって難しいですけど、余裕を持つようには心がけてはいます。

川瀬敦士 荒井さんいかがですか。

荒井与志哉(特養・介) 出来ることって少ないと思うんですね。愛宕福祉会で最近取り組んでいるのは記録システムを変え、書式ではなくてタブレットにするとか、うちの施設も今タブレットで記録していますが、そういう業務改善なのかなって。削れるところは削ることしか出来ないのかなって思います。

川瀬敦士 薬剤師の方も忙しいと思いますがいかがですか。

加藤智世(薬局・薬) 薬局内でいろんな仕事に追われてばらつきがみられるときは、薬局スタッフ全員で一回集まって、無駄な動きがないかを相談して動線ごと変えるっていうのは定期的にしています。

メッツ嵐南薬局 薬剤師 加藤智世 氏

川瀬敦士 長谷川さんいかがですか。

長谷川義浩(薬局・薬) そうですね、雑務に追われている中で、認知症の方の家族が薬をもらいに来て話し込んでしまって他のことが手につかないみたいなことがたまにありますね。自分の仕事が回らなくてもそういうところでは必ず何かの役には立てているとは思うので、あまり仕事が出来ないからストレスを感じることにはならないように気を付けながら、何かしら役に立っているからいいやという気持ちを持ちながらやっているというところもありますね。

メッツ嵐南薬局 薬剤師 長谷川義浩 氏

 

ダメ出しではなく良い出し

川瀬敦士(川瀬・リハ) 介護も辛い事というマイナスな面も取り上げられますけれども、その人と最後に過ごす時間なんだと、その時間を大事にするということもあるようですけれども、ストレス解消のプロとして最後に長谷川さんに怒りをどう処理するかとか、アンガーマネジメントの方法など何か一般の人でも使えるようなことを教えて頂ければと思います。

長谷川淳子(くらぶ・SC) 大変な現場の中ですごく努力やいろんなことを考えて動いてらっしゃる皆さんに言えることはないですけど、私から言っても薄っぺらい感じがして申し訳ないですけど、一生懸命皆さんやられているので、自分たちが出来なかったこととか上手くいかなかった所に目がいきやすいのではないのかなと思います。同じ職場で働いている仲間たちにも、この人ここが出来ていなかったかなとか、ここがいまいちだなっていうようないわゆるダメだしっていうような見方が多いのではないのかなって思います。一生懸命に取り組んでいるからこそ。それはやっぱりそこからダメ出しを超えてパワーにしていく方もいらっしゃると思いますが、疲れ切ってしまっているところにさらに気持ちがへこんでしまうと思うので、逆に私は良い出しというのをオススメしていています。心理学の話なんですけど、1日の生活の中で不適切な行動と言われているものは5%しかない。で95%は適切な行動をしているというように言うんですけれども、事実はそうなんですけど客観的にどこに注目するかというと、出来ていない5%に注目するんですよ。出来ている行動にはほとんど注目をしない。なので、出来ている事というのは素晴らしい事だけではなくて、例えば朝起きて職場に来るとか、挨拶をするとか、みんなと顔を合わせるとかそんな当たり前の事なんですけど、当たり前の事が出来ているというのが本当は実はすばらしい事で皆さん病んでしまったら出勤も出来ないでしょうし、笑顔で挨拶することも出来ないと思うので、当たり前に出来ている事も自分で認めてあげて周りも、「いい笑顔だね」とか「○○さん、おはようございます」とか名前を言って挨拶するとか、そういう何気ない一言とか出来ている事に注目するっていうのは頑張っている人たちの気持ちの栄養になるのではないかと思います。同じ仕事の量があっても人間関係が良いか悪いかというのは結構違うのではないのかなと思いますね。なので、利用者さんが、話してくれてありがとうという言葉を同じ職場の中でも、役職的に上下関係があるとしても、上司的な人はあなたがそう思っていたんだね、私に話してくれてありがとうって、そこが大事だと思います。そこでそういう風に言ったらもっと話してもいいのかなとか、こんなこと言ってはダメなのではないのかというような、ストッパーが外れて流れが良くなったりとか、働く環境もきっと皆さんだったら全然いい環境で働いてらっしゃるかもしれませんけどそういう事も良いかなと思います。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ありがとうございました。普段我々は患者様だったり利用者様だったり良いところを見つける仕事をやっているのだけれども、やっぱり自分の出来ている部分になかなか目が向けられなくてストレスが溜まってしまう。結構使命感の高い人がこの職業につく人が多いのかなと思うんですよね。なので自分の良いところを肯定的にみて励まし合いながらストレスに対応していくことが良いのかなということが分かりました。では最後に院長から一言お願いします。

川瀬裕士(川瀬・医師) いつもとは違った切り口で今回やってきました。にいがたアドラー勇気づけくらぶの長谷川さんに来ていただいたり、認知症の人と家族の会の早川さんに来ていただいたり、良い会になったかなと思います。厚労省が、働く人のメンタルヘルスに関して〈こころの耳〉というホームページ上にいろんな情報を出しています。そのうちの1つがセルフケアという自分自身がストレスに強くなろうというものです。運動をしなさいとか、自然と親しみなさいとか、仲の良い人との時間を作りなさい、笑う事を増やしなさい、仕事以外の趣味を持ちなさいとか、いくつかあるわけです。同僚と少し愚痴を言い合うとか、こういうのもセルフケアの一つになるし、今ちょうど長谷川淳子さんが言ってもらった考え方で、どこに目標を置いているか、どこを目指しているのかが重要で、目標が高すぎる人が鬱とかになりやすいから、「こうでなければいけない」、「こうしなきゃいけない」とか、「こうであるべきだ」と理想が高いと、そこに対して出来なかった事のギャップで悩んでしまう。そうでなくて自分なんかが良くここまで出来たというふうに見れば、目標を上回ったり、ギャップもあまり生まれない。どこに最初の目標を持っておくかという事も大事。自分自身の心をストレスに強くするというもの、それがセルフケア。もう一つが働きやすさを改善する、無駄を省いて労力を小さくするとか、職場の仕組みを改善するのがラインケアというものです。職場の人間関係を良くしておけば同じ大変な仕事でも出来るというのはあるとは思うので、それはそれぞれ企業の中でやっていくこと。それがラインによるケアなんだよね。セルフケアのことに対してはアウシュビッツの収容所に収容されていた人で、そこを出た後に、強制収容所にいた間もなんとか精神の崩壊をきたさずに出られた人、健全な心の状態でいれた人がどういう考え方を性格上持っていたかというのを研究していた人がいて、これがよくストレスのケアに良いと言われています。首尾一貫感覚(Sense of Coherence)といって、その3つの要素がある人のいる部署の人たちは皆それが良くなる。それでストレスが軽くなる。上司とかは影響力は大きいんだけれども上司でなくてもそういう中心人物がいて、良い雰囲気を出していれば良い。その3つの要素の1つがさっき言ってくれたけど、医療職とか介護職というのは大変だけど、その分それがすごく意味のあることで、患者さんにとってすごく良いことを実際にしているわけだ。医療職であり介護職であり人の命や心を助けているわけだから、あなたが苦労しているその仕事は何か必ず意味があるというのを見いだせるかと。有意味感(meaningfulness )というのだけれど、どんなに辛くても、これは今自分が辛い思いをしているのは何かきっと意味があるはずだと思える感覚。もう一つは、把握可能感(comprehensibility )といって、これはなかなか分かりにくいんだけど、要は状況を把握する能力。今日はいろんな状況があってたまたま忙しい日なんだというように冷静に考える力。でもそれが考えられない人はいつもこうだと思ってしまう。今日は大変だけど明日は大丈夫とか、実は昨日お酒を飲んで自分の体調が悪かったんだから今日上手く出来なかったんだとか、いろんな原因を考えて今のその状況を冷静に見れるかどうかというもの。そうじゃない人はどこかでぱーんとはじけちゃう。実際はいろんな要素があるんだけど、たまたま一番忙しい時にぶちぎれちゃうとかね。それを耐えられるかどうか。あともう一つは楽観的なものの見方ができる処理可能感(manageability )といって、物事のどんな苦境があっても「何とかなる」と思えるかどうか、その3つの有意味感、状況分析能力、楽観的な見方、それがセルフケアの胆として紹介されている。そういうのがあるので自分自身も含めてやっていきたいなと思いました。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ではお時間になりました。これで認魂10回目を終わりにしたいと思います。今日はありがとうございました。