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認魂レポート

第7回テーマ : 認知症の人の理解のギャップにどう対応するか?

参加者:
【介護職】石川雅子1 原島哲志1 布施良友1 若林久美子1
【介護支援専門員】川井美智子3 佐藤雄一4 佐野隆樹5 関崎敦子5 原知子4 渡辺美佳子1
【認知症地域支援推進員】須藤新次6
【薬剤師】山寺忠之7
【看護師】坂井美和子1
【作業療法士】川瀬敦士1 皆川尚久1
【医師】川瀬裕士1)  

介護職・・・以下「介」
介護支援専門員・・・以下「CM」
薬剤師・・・以下「薬」
認知症地域支援推進員・・・以下「地域」
作業療法士・・・以下「リハ」
看護師・・・以下「看」

1)川瀬神経内科クリニック、通所リハビリ樫の森・かわせみ、サービス付き高齢者向け住宅かえるハウス(以下「川瀬」)
2)特別養護老人ホームおおじまの里(以下「特養」)
3)三条市地域包括支援センター嵐南(以下「包括」)
4)居宅介護支援センターつかのめの里(以下「居宅A」)
5)さわやか苑 三条東 居宅介護支援事業部(以下「居宅B」)
6)はあとふるあたご グループホーム三条(以下「GH」)
7)メッツ嵐南薬局(以下「薬局」)

 


 

氏  名(所属・職種)
川瀬敦士(川瀬・リハ) 
本日司会を担当します川瀬神経内科クリニックリハビリテーション科の川瀬敦士です。どうぞよろしくお願い致します。認魂研修会は今回で7回目となりました。第1回は2015年の1122日に開催しました。それから年3回のペースで今回が7回目となりました。今までいろんな職種の方々から来ていただきました。今回は認知症地域支援推進員、介護支援専門員、介護職、薬剤師の方から来ていただきました。それでは当クリニック副院長の川瀬裕士より開会の挨拶をさせていただきます。


川瀬神経内科クリニック 作業療法士 川瀬敦士 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) 皆さんいつもありがとうございます。今回のテーマは今までとは少し違う切り口で、「認知症の人の理解のギャップにどう対応するか?」というテーマにしました。認知症というものをあんまり正しく理解できていない人も当然社会の中にはいるわけでして、本人もそうだし、介護者である家族もそうだし、もしかしたら現場で働く介護スタッフの中にも、理解としてそれで本当にいいのか?という人も多分まだいるだろうと。それは医療の世界にもいますし、医者の中にもいるし、私自身も分かっていない部分はたくさんあるのかもしれません。おそらく認知症や認知症の人の心を正しく詳しく理解すればするほど、本人のために良いケアができるであろうし、さらに一緒に住む家族の介護負担も正しい理解があることによって軽減できるのではないかと考えます。私は毎日クリニックで認知症の患者さんを診ていて、認知症の方にいつもきつく叱っていて、「この人のせいで私はすごく困っているんです!」と言っている家族を見るわけですけど、その人自身すごく苦労しているんですよね。認知症があるために本人も家族も苦労しているわけですが、家族の方の苦労というのは、認知症に対する理解の仕方を変えることでもう少し楽になれる部分もあるのではないかなと。だから正しい理解というのをどのように伝えていけばいいのかということですよね。認知症というものがある時、どういう症状が出るのか、どう進んでいくのか、どうしてそうなるのか、どこまでができることでどこまでができないことなのか、というようなことをあまり整理できていない方々にどう伝えて理解してもらえれば良いのか。そういうような場面で困った経験もあったかと思いますので、今日は皆さんの経験の中からお話しいただければと思います。よろしくお願い致します。


川瀬神経内科クリニック 医師 川瀬裕士 氏

川瀬敦士 今回のテーマは「認知症の人の理解のギャップにどう対応するか?」です。同居者、家族、医療・介護職などとの関わりの中で認知症の人の理解の差で困ったことを、事例を見ながら良い対策があるのかを皆さんと考えていければと思います。今回は認知症の人の理解のギャップということですが、認知症の人の理解をするのは、認知症の方の周囲の人間、つまり家族や我々医療・介護従事者ということになります。実際にどういうギャップがあるかを考えますと、例えば認知症の重症度の理解に対するギャップがあります。認知症になる前のその方の様子を知っていたり、あるいは自分の親だったりすると、「あのしっかりしていた人が…まだできるはずだ」、「単に年のせいなのだろう」と考えることがあります。認知症の症状が出てきているのに今の現実をありのままに見ようとしない、あるいは見ることができない。どちらかというと楽観的な認識のままでいることで、現実との間にギャップが生まれてしまうケースもあると思います。また反対に、認知症の方と向き合った時に、BPSD(周辺症状)1などを見て、実際に体験しますと、「なんでこんなことをするんだろう?あーこのまま何もできなくなってしまう…」、そういう思いになることは率直な気持ちだと思います。実際に本当に何もできなくなってしまうのは最後の最後であって、そこまでの過程がすごく長くあるのですが、その捉え方が悲観的になり過ぎていたりすると、実際の認知症の程度よりも悪く捉えてしまうギャップが生まれてしまうこともあります。次に本人の声・気持ちに視点を変えてみると、『認知症になった私が伝えたいこと(大月書店)』の著者の佐藤雅彦さんは、「本人は家族に世話をかけていることに負い目を持っています。もし家事などでちょっとした手伝いができるなら、 役割を与えて下さい。そうすれば自信が生まれます」、また、「本人は家族が介護で疲れ切ってしまうことを望んでいません」と言っています。こういうご本人の思いがあると思います。それに対し、周りにいる家族や我々医療・介護従事者は、「どうせうまくできないのだから家事はやらせない方がいい、失敗するから何もさせない方がいい」と考えている場合もあると思います。このような本人の意思との間のギャップもあるかもしれません。介護サービスを使うことに関しては、介護サービスを使うこと自体が本人を傷つけると引け目を感じている家族の方もいますし、本人もまた「そういうのを利用するようになったら終わりだ」と考えている方もいるかと思いますが、実際に利用してみた後は、本人も家族も、「イメージと違っていた」、「もっと早く使えば良かった」と思うこともあるようです。こういった様々な認知症の理解のギャップがあることによって、本人や家族のストレスや苦労が増えたり、適切なタイミングで医療や介護サービスを受けることが出来ずに介護負担が増えたり、結果として本人と周囲の人との関係が悪くなってしまう現状があります。従ってこのギャップを無くす意義が出てくると考えます。ここから事例紹介に入ります。今回は、ギャップを埋めるためには、話し合って理解し合うということが最終的な解決法となります。一見シンプルに感じるかもしれませんが、実際に理解し合うことは簡単ではないと思います。今日は、双方がどういう思いでいるためにそういったギャップが生じたのかを、皆さんで想像できるようになることが一つの糸口になるのではと思っています。

*1  BPSD ( behavioral and psychological symptoms of dementia ) : 認知症に伴う行動心理症状。興奮、易刺激性、妄想、幻覚、不安、うつ、アパシーなど。

 

悪くなってきた部分をどこまで家族に伝えるべきか

川瀬敦士(川瀬・リハ) 最初に事例です。Aさんお願いします。

A(特養・介) 具体的にそういった方がいるのではなく、全体的に施設に長く暮らしている入居者様に対して、家庭にいた時のご本人様の様子のイメージがご家族様はわりと強く持っています。でも実際は、在宅で生活されていた頃よりもだんだん認知症が進んできており、介護職から見るとだいぶ進んできた方でも、ご家族様はたまにしか来ませんので、その時の姿しか見ていなくて、その時の状況を見ただけではあまり分からないというか。入居者様もご家族様がいると良い姿でいられます。よってご家族様にはなかなか日常の様子を理解してもらえない状況があります。

川瀬裕士(川瀬・医師) 結構悪くなってきている部分に関しては、家族に対して、認知症が進んできてこういうことがあるということをスタッフとしては同じ理解度で分かっていてほしいという思いがあって、それを何とか伝えようとしているのでしょうか。それとも家族に最近の状態を分かってもらわなくても良い、家族が来た時に本人が良い状態でいると思って帰っていただければ良いというのであれば、あえて出来なくなってきた部分を家族に伝えなくても良いということもあると思いますが。あまり説明しなくても分かってくれている家族もいるとは思いますが、だんだん認知症の進行具合の理解にギャップが開いてきて、まだかなり良い状態でいると思っているご家族に対しての伝え方の方針などはありますか。認知症が悪化してBPSDなどがたくさん出てくると、薬の調整のこととか家族にお願いしなければいけないことが出てくると思います。その辺りはどのように伝えているのですか?

A ケアプランの更新月になると、説明会(伝達会)があるので、その時に相談員さんが介護職から話をくみ取った事をご家族様に提示し、お話をしていると思います。介護職側からしてみると、不穏の時にご家族様がいらっしゃっていれば、「実は、最近こんな状態で…」という話はできますが、そうでない時にあえてそう言ったことは言いづらいというか…。ご家族様としてはそんな事を言われるのは気持ち的に嫌なんじゃないかと思います。私自身も特養での経験が浅いので、そのようなことは言えません。まずはご家族様との信頼関係を築きたいと思っているので、やっぱり身近な良いことや、今日こんなことをして喜んでいましたとか、そういった話からまずは信頼関係を築ければと思っています。

川瀬裕士 (認知症が進んできたこと)そういったことは、(家族に)伝えた方が良いのでしょうか。他の施設ではどうですか?

原島哲志(川瀬・介) 当施設(サービス付き高齢者向け住宅)では毎月モニタリングという形で、ケアマネさんにお送りしています。同じ内容をご家族にも送っています。その中で、最近ちょっと失禁が多くなってきたことや、〇〇が出来なくなってきたこと等を少しずつ月一回ですが、このような形でお伝えしています。例えば半年後にご家族がいきなり来られた時に、結構変わっていて、いきなりいろんなことを言われても、やはり理解できないと思います。

川瀬裕士  定期的に報告する仕組みがあるということですか?

原島哲志(川瀬・介) そうです。書面で伝えています。書面だけでは伝えきれない場合は電話連絡する場合もあります。


川瀬神経内科クリニック 介護職 原島哲志 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) 家族と接する頻度の違いはあるのでしょうか?

A(特養・介) そうですね、しょっちゅう来られる(家族の)方もいますし、そういう方に対しては小まめにコミュニケーションをとることが出来ます。

川瀬裕士(川瀬・医師) ギャップが生まれやすいのはあまり来ない家族の方とですかね?

A そうですね。

川瀬敦士 関崎さん、この件に関してどうでしょうか?

関崎敦子(居宅B・CM) 施設と在宅は違います。在宅の場合はしっかりとある事実をお伝えしないとギャップが生まれやすい。「なんでお家ではこんなことをしているのに、リハビリに行くとそんなに良いの?」という。良いことしか伝えなかった場合、そこでもうギャップが生じてきます。ただし施設にいて、ご家族様との接点が少ない中で、私も今考えさせられてしまったのですが、あえて全部お伝えすることが本当に正しいことなのかどうなのかな…と。その点が在宅と施設の違いと受け止めています。どうなのでしょうか?

川瀬敦士 良いところを伝えることによって在宅生活で生かせる事も通いであればあり得ます。

関崎敦子 施設だからこそ難しいのかな。

 そうですね。自分はデイサービスで働いていたことがありますが、その時は逐一細かく変わった事があれば、「お家でも気を付けてください」という気持ちもあってなるべく伝えるようにしてきました。

川瀬裕士 特養は最後の場所になることも多いですからね。

関崎敦子 終の棲家として受け止められている場所ですからね。


さわやか苑三条東 居宅介護支援事業部 介護支援専門員 関崎敦子 氏

 川瀬裕士 施設側が全部やるので、細かいことは言っても言わなくてもあまり影響がないのか。言ったところで何かプランが変わることはないのですから。

 割とご家族様も「うちのお父さんお母さんは、まあ年相応だからね」とか、先程お話のありました楽観的なギャップの方が案外いますね。

川瀬敦士 ご家族ではそのような方が多いのですね。

 そうですね。

 

言葉のイメージ“年相応”“認知症”

川瀬敦士 須藤さん、今までの話の中で少し聞いておきたい事はありますか?

須藤新次(GH・地域) そうですね。今、年相応という言葉が出た時に楽観的という言葉が出ましたが、今、私の事例で、「年相応と言われた。それってあきらめろということですかね?」と言うご家族もいました。

川瀬裕士(川瀬・医師) 外来だとそっちの方が多いような気がします。「年相応って言われて切り捨てられた」と言う方もいました。 年相応という言葉は、誉め言葉ではない時の方が多い気がします。

須藤新次(GH・地域) 我々も、「もうあきらめろ」と言ったそんなつもりは無くて、医療職も福祉職も頑張っているが、そのように捉えられる実態があります。


はあとふるあたごグループホーム三条 認知症地域支援推進員 須藤新次 氏

川瀬裕士 「その年代の他の人と同じだから、みんなと同じだから特別に悪いわけではありませんよ」というつもりで言っても、「先生に、年だからしょうがないって言われたんですよ。そんなこと言われたんですよ!」と訴えてくる方が結構いますね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 本人が施設などに入所してある程度月日が経つと、家庭にいた時の良かった頃のイメージを持っているご家族は、まだ出来るはずという思いをずっと持ってしまうのかもしれませんね。

川瀬裕士 私の外来でも、最近はかなり高齢の方がたくさんいまして、本人が90歳以上で、その子供である介護者も徐々に高齢化しているというパターンが結構あります。例えば介護者が70代だったりすると、それなりに理解力も衰えてきています。それとアルツハイマーという病名に対する、あるいは認知症という言葉だけに対する悪いイメージが強くあって、そのイメージが絶対にとれないという方がいますね。(本来は正しい診断をして)そこからスタートするんですが、認知症の診断をつけて、でもその中でもできることがあると。ただその言葉が出た時点で終わりと思ったりする世代の人達もいたりします。認知症があることはある程度認めてもらい理解してもらった方が、いろんな意味で会話はスムーズになるし、嘘を言わなくてよくなりますが、その時にアルツハイマーの「ア」の字や、認知症の「認」の字が出た瞬間にシャットアウトということはたまにありますね。だから誰に説明するのか、何歳の人に説明するのか、その人の考えられる心の余裕がどこまであるのか、認知症という言葉に対するイメージを拭えるのか拭えないのかをちょっと考えながら説明しなければいけないことも結構ありますね。

A(特養・介) (認知症の)病名を受け入れてくれない方がいたような気がします。

 

医療機関を受診するべきタイミング

川瀬敦士 施設での対応の中で、(ご家族より)うちの親は認知症じゃないんだからこの対応はやめてほしいというようなことはありますか?

A それはありませんが、例えばトイレが頻回の方で、センサーマット2をつけさせてもらっていますので1時間に何回もセンサーがなるようなことがあって、お薬の調整や尿の検査のため受診を勧めましたが、ご家族からあまり理解を得られず断られたこともあります。

*2  センサーマット: 床に敷き、人が踏むとナースコールや専用受信器で別の場所にいる人に知らせることができる介護用具。

川瀬裕士(川瀬・医師) 例えば暴言・暴力や幻覚・妄想などの症状が出てきたら、それは薬で治せるものかもしれないので、医療機関を受診するように家族に伝えたいですよね。ただし、そういった話になれば、認知症ということを何らかの言葉で伝えなければいけないわけで、その時にギャップが大きいとなかなかうまく伝えることが出来ずに困ることがあるんでしょうね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 通院とか、手間をかけたくないということもあるのでしょうか?

A(特養・介) (私の経験した方は)そうではないと思います。薬に対して副作用等の心配があるようでした。

川瀬裕士 確かに副作用もありますので、(薬をできるだけ使わないということは)ある意味では正しいのですが、ただ過度だとね。認知症に伴う差し迫った問題となる症状がないのであれば、ご家族が無理にアルツハイマー病というものを理解させられる必要もない。だけど、そのギャップを常日頃埋めていくことで、実際にそういう困った問題が起こった時に、「前から時々教えていただいてましのたで分かります。そろそろそういう症状が出てきてもおかしくないですよね。ちょっと病院へ行ってみましょうか」と言ってもらえるようになるかもしれませんので、定期的に細かく伝える必要があるのではないでしょうか。

 

それぞれの思い・望むもの

川瀬敦士 ここまでで佐野さんいかがですか?

佐野隆樹(居宅B・CM) やはり在宅、特養・施設によってそれぞれ違うと思います。介護員の現場の方とご家族様が、同じレベルの認識が必要なのかどうなのかと思いました。やはり思いもあると思いますし、現場で働く人にとっては、この方はこうなのだと思っていても、それをご家族様に全く同じレベルで認識してもらわなくても必要な所だけでいいのかと思います。ご家族様、ご本人、介護する側の望むものの差がそれぞれのギャップになっているのかと思います。どこの現場でもありますが、「この人困った人なんです」という事を伝えたいだけであればそれは違うのかなと思います。


さわやか苑三条東 居宅介護支援事業部 介護支援専門員 佐野隆樹 氏

川瀬敦士 ご家族様の望むところとは、どんなところでしょうかね?

A ご本人様が安心して暮らせることが一番良いと思っているんだと思います。

川瀬裕士 佐野さんの言う様に、好みとかは別々で構わないし認識を必ずしもピッタリ一致させる必要はないと思います。今日のテーマは認知症というものの理解が極端に少ないことによって、本人もしくは家族がすごく困っているケースがあった場合に、そのギャップを埋めることで、正しく理解してもらえることで良くなるのであれば、それを伝えましょうという事です。だからそれぞれの立場で少しずつ思いが違うのはそのままで良いと思います。今すぐに何か困っていることがあるわけではないケースではそのままで良いと思いますが、今後困ったことが出てきた時に、どうそのギャップを埋められるかが重要だと思います。

 

頭では分かっていても感情が前に出てしまう

川瀬敦士(川瀬・リハ) 次の事例に行きます。これは当法人の事例です。渡辺さんお願いします。

渡辺美佳子(川瀬・CM) 一人暮らしの女性です。本人は「なんでもできる。迷惑なんてかけているの?」と言っています。この例では長男と長女で理解の仕方が違っています。長男さんは別居ですが、受診の付き添い時やケアマネとのやり取りの中で認知症の理解はだいぶ深まってきています。一方、長女さんは週に一回買い物に連れて行ってくれたり自宅の掃除をしたりしてくれますが、徐々にお母さんに出来ない事が増えてきたり、会話の中でやり取りにまごまごしたりすると、怒って険悪な雰囲気になっていたりするようです。たまたまそういう時に長男さんが自宅に来ると、お母さんが半分泣きそうになっておろおろしていて、話を聞くと、「娘が怒った、怒った」と怒られた事だけが記憶に残っているようです。私も長女さんと関わりを持ちたいと思っていますが、長女さんも自分がやっていることが間違っているのではないかと薄々感じているからなのか、ケアマネとの面談は拒否しています。長男さんを通じて、「お母さんが泣いたりしてお困りのことがあるようなので、今度お姉さんが来られる時に一緒にお話しをさせて下さい」と伝えてもらってもなかなか直接会ってお話することが出来ていません。

川瀬裕士(川瀬・医師) 長女さんに会ったら、担当ケアマネとしてどのようなお話をしようと思っていますか?

渡辺美佳子 一番思っていることは絶対に長女さんが行っていることは否定したりせず、怒ってしまったという事実に対してもそれは良くないと直接的なことは言わないで、長女さんも怒ってしまうその元があると思いますので、その時の状況などを良くお話を聞いて、どんな対応をしたら怒らなくてもよかったかを長女さんから引き出せるような方向が理想です。


川瀬神経内科クリニック 介護支援専門員 渡辺美佳子 氏

 川瀬裕士 この方は薄々気づいているようですので、それが出来そうな気がします。分かっていない人もいますが。だからそういったアプローチで本人に気付いてもらって何か行動が変われば、きっと本人もそうだし、長女さんもおそらく救われるのではないだろうかと。何かしら落ち着いて考えてもらう機会を持てればと考えているわけですね。頭では半分分かってはいるけど行動がともなわないという、これもよくあるパターンですよね。

川瀬敦士 結構ケアマネとしては気を遣うものですか?

渡辺美佳子 そうですね、介護されている方は自分がやっていることにすごく不安を感じていて、私のやっていることは本当に正しいのかと、自分を責めていたりする方も大勢います。やはりやっていることへのねぎらいの言葉がけは心がけるようにしています。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 川井さんこの事例について何か感じることはありますか?

川井美智子(包括・CM) やはり女性は同姓の親(母)に対しては厳しい面があるのかなぁというか。まあその反対もあるんですけど。男性がお母さんに元のしっかりしたお母さんに戻って欲しいと思う事例もあります。分かっていても感情が常に前に出た対応になってしまうのかなと思います。やむを得ない感じがすごく理解できました。長女さんは上手くやっていきたいという思いがあるので、そこは救ってあげることができたら良いのになと思います。自分がもしケアマネなら渡辺さんと同じように考えます。


三条市地域包括支援センター嵐南 介護支援専門員 川井美智子 氏

川瀬敦士 良くないと分かっていても、自分の親であったり同姓であったりすると少しきつめの行動に出てしまうのかもしれませんね。気持ちを汲み取りながら間接的にでも意思を変えていけるようなアプローチが良いのだと思いますね。

 

家では興奮、介護施設では穏やか

川瀬敦士 それでは次の事例に行きたいと思います。渡辺さん説明お願いします。

渡辺美佳子 (川瀬・CM) 女性で要介護3の方です。夫、長女夫婦と同居しています。ご本人は怒りっぽく、介護抵抗があるということですが、それは自宅だけのことで、サービスを利用している時は一切怒ることはありませんし抵抗もありません。なぜだろうとずっと疑問で、訪問の度に家庭での関わり方とかをお聞きしていましたが、どうも夫がすごく耳が遠いために、いつもとても大きな声で話をするので、周りの人には怒鳴っている様に聞こえてしまうようで、そのせいで本人が興奮しているようでした。日中は夫と二人でいるため、長女が帰宅された時には、もうすでに何を言っても、「家に帰らんばら、どっかに行かんばら」等と言い、手が付けられないほど興奮している状態で抵抗もあるようです。また、認知症もかなり進行し重度になっていて、言葉の指示も入らなくなっています。夫は、子供は親の面倒を見るのが当たり前という考え方で、長女夫婦に対するねぎらいの言葉は何もなく、「当たり前だ」と言っているようです。長女の夫はすごく協力的でうまく対応してくださっているようですが、さすがに排泄の介助や夜中の見守りなどのために非常に負担を感じているようです。

川瀬敦士 夫の難聴による理解度等、いろいろあるようですね。

川瀬裕士(川瀬・医師) 夫が重度の難聴になっていて、常に誰に対しても声が大きくなっていて、その声で言われている本人(妻)は怒鳴られていると思っているという事ですね。

渡辺美佳子 おそらくそうだと思います。また重度の認知症のため、理解が出来ずに夫におびえている感じもあって。

川瀬裕士 そうだとすると本人は家ではないところにいたら良いのかもしれませんね。その夫の声が大きいことによって、本人が精神的に不安定になっているということに関しては、長女さんはそう理解しているのですか?

渡辺美佳子(川瀬・CM) 薄々は分かっていますが、家の中でお爺ちゃん(本人の夫)が君臨していて、誰も意見を言える人がいないので、対応を変えてほしいとか優しくしてほしいとか言えない状況です。

川瀬裕士(川瀬・医師) 夫(お爺ちゃん)は認知症?

渡辺美佳子 ん〜、どうでしょうか。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 夫(お爺ちゃん)に何かを変えてもらおうとすることは難しいですよね。だからそれこそもう少し介護サービスを利用することで、夫(お爺ちゃん)と離れる時間を作るとかそういったことを進めていくべきでしょうかね。

渡辺美佳子 今年の秋の終わりぐらいから、今まで増やせなかったショートステイを増やして、他者交流の機会とか、少し家から離れる期間が多くなったら、本人もたくさん会話をするようになりました。

川瀬敦士 年齢的に変えることが難しい人もいますね。ただ長女さんや長女さんの夫が実際に手続き等すると思いますが、この方々の理解があったことが良かったのだと思います。もしこのケースが夫と本人だけだったとして、そこにケアマネージャーが入っていたら大変だったと思います。

 

適切な理解のない夫も認知症?

川瀬敦士 次の事例に行きます。当院外来からです。坂井さんお願いします。

坂井美和子(川瀬・看) この事例は認知症の奥さんに対して夫が、常に「何も出来ない」と愚痴を言っています。認知症の理解がない夫とのギャップの事例です。夫が「こうあるべきだ」、「こんなはずはない」と、いくら認知症について説明してもなかなか理解してもらえない夫に対してどうしたら良いのか?


川瀬神経内科クリニック 看護師 坂井美和子 氏

川瀬敦士 夫との2人暮らしのようですが、夫も疲弊しきっているのかもしれません。

坂井美和子 担当ケアマネージャーより2人を離した方が良いとのことで、ショートステイを1回試しましたが、逆に夫が心配になってしまうという事で、ショートステイは使わないことになりました。離れれば心配だし、そばにいれば指示をしたくなる、なかなか上手くいきません。

川瀬敦士 関崎さん何かありそうですね。

関崎敦子(居宅B・CM) 同じ事例があります。お互いがいるから一緒に生活ができる。片方がいなくなると不安でダメなのですね。ショートステイ利用中でも何回も本人に会いに行ったりと、とても似た事例だったので共感して聞いていましたが、夫も認知症かなと思えるようなところがあって、なかなか理解してもらえなくて私も今苦戦しています。ただサービスを入れることで、今はデイサービスに切り替えていますが、それで日中はいないで夜は帰ってきてしっかり寝ることで生活のリズムを整えつつあります。でもなかなか夫に認知症がある中でそれを理解してもらうのは至難の業ですね。

川瀬敦士 いろいろと言ってしまうのは奥さんに対する思いが強いから言ってしまうこともあるのかもしれませんね。

川瀬裕士(川瀬・医師) もし夫ではなくて一つ世代の若い人、子供さんとの2人暮らしであったら、子供さんに(認知症というものを)分かってもらう必要がありますが、今回の場合は夫も高齢なので、分かってもらうことが難しいパターンかと思います。この夫の方に「何で認知症を分かってあげられないのか?」とは言えませんので、この場合はおっしゃるようにサービスをいれるのが良いかなと。2人きりの状況だともしかしたら、夫が奥さんを殴っているかもしれないし、殴りたくなるくらいに夫も悲しい気持ちでいるのかもしれません。一番大好きな人こそ認知症になって欲しくないから怒ってしまうわけですが、結局両方とも苦しんでいるパターンです。だからここは外部が介入しなければいけない。でも家族とか下の世代で、認知症というものを理解できる能力がある若い人であった場合は、何とかして認知症というものを正しく受け入れてもらう必要があると思います。そこが埋められるギャップなのかなと。「もっとしっかりしてほしい」、「元気で認知症じゃなかった状態に戻ってほしい」という気持ちと、治らない認知症の現状の間で、認知症を受け入れられず苦しんでいる家族を救いたいわけです。

坂井美和子(川瀬・看) なんとか娘さんに連絡が取れて、娘さんが介入し始めてくれていますが、夫が娘さんの言うことも聞かないです。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 夫婦で入れるサービス付き高齢者向け住宅というところもありますので、そのような利用の仕方もあるのではないでしょうか。お互いに心にゆとりを持った状態で、良い部分のところだけでお茶を飲む時間を取るとか、大変な所はサービスを入れて、でも完全に2人を離してしまうのではなく、生活の中でワンポイント会う場面を作って、というように関われればいいと思います。

 

娘と息子の違い

川瀬裕士 ここまでの事例で、認知症の理解のギャップを生じている人に言ってもしょうがないという事例が実は多いのですね。若林さんここまでの感想でいかがですか?

若林久美子(川瀬・介) 私がちょっとひっかかるなと思うことは、長女の方と長男の方のギャップです。例えば長女の方が、お世話を自分1人でやっているのであれば、(認知症の)お母さんにあたっているけれども、自分だけが何故しなければいけないのかといった気持ちもどこかにあるのかなと思います。本当に、私どものところを利用してくださっている方にも、兄弟がいるけれども自分だけが一緒に住んでいて、自分だけが面倒を見ているといった感じの長女さんがいらっしゃりますが、いろんなものが溜まっていて連絡ノートにいろんなことを書いてくれます。その書いてくれることに対して答えを求めているのではなく、何か吐き出したいといった感じで。そういった方もいますので、そういう方のフォローもいるのではないかと感じました。


川瀬神経内科クリニック 介護職 若林久美子 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) そうですね。孤立してしまって自分だけの世界に入ってしまうと、「なんで私だけが」という思いが出てきますね。介護する認知症の方だけでなく、協力してくれない家族に対するメッセージだったりすることもあり得ますね。なるほど。

川瀬裕士(川瀬・医師) そうですね。実際、介護をしていない人の方が「認知症って大変ですよね」と言っていますが、実際にその人は介護を全くしていなく、辛さを分かっていないということもありますね。実際に現場で介護をしている家族は、本当は(認知症の人にきつくあたるのは良くないことを)分かっているんだけど、それを超えてくるものがあるのですね。

川瀬敦士 一番身近でやっている人の心理的負担をおもんぱかる気持ちというのは、想像以上にもっとしっかり伝えていく必要があるんですかね。お金だけ出していたりとか、何か手続きの時だけ協力したりとか、困っている時にはいつでも行くよと言ったりとか、ということだけではない別の寄り添い方を我々は考えていかなければいけないと思いますね。

川瀬裕士 育児の父親と母親の役割分担と似た話ですね。

須藤新次(GH・地域) ドキッとします(笑)。

 

理解できない家族 服薬管理

川瀬敦士 次の事例です。次も当院の外来です。

川瀬裕士 認知症の薬を使っている人がいて、医師の私が「パッチ3のところは痒くないですか」と聞きます。診察に来ているのは80才の女性の認知症の方とその旦那さんです。患者さんは「別に痒くないです」と言って、旦那さんも「大丈夫です」と言います。「貼り忘れたりすることはないですか?」と聞くと、旦那さんが「大丈夫です」と言います。「今、どこに貼っていますか?」と聞き、見てみるとどこにも張っていません。という事は、服薬管理が出来ていないんですね。その時に旦那さんが奥さん(患者さんである本人)に、「なんで、ちゃんと張っていないんだ!いつも俺が言っているじゃないか?だめじゃないか!!」と怒ります。この奥さんは中等度の認知症なので、服薬管理は完全に夫がしなければいけない状況ですが、それをせずに、患者さんは怒られて診察室でしょぼんとしてしまいます。本人は認知症なので当然服薬管理は出来ません。だからこれは患者さんを責めるのではなくて、家族の問題です。これと同じようなパターンは外来では沢山あります。認知症の方の服薬管理には飲み薬でも貼り薬でも家族の協力がどうしても必要です。この例は旦那さんのパターンですが、子供の場合もあります。ただし、認知症のことを分かっていないのではなくて、面倒だとか、仕事が忙しいということで、よくあるのが「1週間のカレンダーに薬を入れてあるので出来るはずです」と言いますが、実際はたくさん漏れがあります。それが認知症なんですけども、「どうして出来ないの?」といって家族を責めています。同居する家族が認知症で何ができて何ができないのかを十分に分かっていないというギャップのために、本人は怒られたり責められたり、介護者もイライラするようですので、お互いが苦しんでいる現状があります。

*3  パッチ剤: 小さなパッチ型の経皮吸収型製剤で、24時間ごとに張り替えて使用する抗認知症薬

 

受け入れられていない家族 捉え方

川瀬敦士(川瀬・リハ) 次に行きたいと思います。当院外来の事例です

川瀬裕士(川瀬・医師) 認知症の男性患者さんで娘さんが付き添いで受診されています。娘さんが受け入れられなくて外来で不満を言っています。娘さんは「父は頑固で怒りっぽい。自分の基準しかない。家族のルールには絶対に従わない。言い訳が多いし、本人に自覚してもらわないと…。本人は自分がまともだと思っている。被害者意識がすごく強い。外ではちゃんと見せるんです」とかなり強い口調で言ってきます。本人もそこにいて、言い返すような感じで、「失敗して迷惑かけるんじゃねえかっていうのが圧迫感になるんだよ」と言います。すると即座にその娘さんが、「でもそれがちゃんとできてない!何にも注意していない。結果が伴っていない!嘘ばかり!」と言います。中々大変だとは思いますが、認知症というものが受け入れられていないのか、認知症の症状をあまり理解していないのか。こういうパターンもよくあります。家族は、まだ(本人が)大丈夫であると思っている心があるんだと思います。(家族は)認知症じゃなくて、ちゃんとやればできるはずと思っているし、この方(本人)が分からなければいけないと思っているのだろうと。おかしなことをやってしまう認知症の人に対して、「あれだけ言ったのにまたこんなことをするんですよ!」とか、「さっきご飯食べたのにまたくれとか言ってきます。何度言ってもわからない」とか言われることがあります。それでその人は怒っているわけで、そう言っている介護者はハッピーではないわけです。だけどその考え方や捉え方を変えない限りは、認知症を受け入れない限りはその人自身もずっと苦しみます。言うことで発散して解決しているかどうかは分かりませんが、苦しんでいるのかなぁと思う家族は大勢いますね。外来で長く説明して「そうなんですね」と納得していただくこともありますが、スタートはこのような感じですね。本人もすごく追い詰められていること、今の状態がいわゆる認知症だということ、認知症なのでできないことがあるということ、本人もなりたくてなっているわけではないということなどを色々説明します。本人の不安感も言葉から見えてきていますが、それでも失敗してしまうし、うまくいかないし、とにかく怒られて、怒られて、辛いなあという気持ちが出ています。この娘さんもそこを分かってあげられないことで、娘さん本人も苦しみ、認知症の患者さんも苦しめてしまっている状況です。どうやって伝えよう、どうやって理解してもらおうといつも考えていますが、分かってもらえる人もいるし分からない人もいます。頭では分かっているけどできないという人もいます。実際に下の世話を一回しただけで「もう嫌!」という人もいるだろうし、なかなか難しいですね。でもそこでこそのケアプランですよね。どれだけ身体的に、時間的に家族を開放してあげられるか、そのことによって少し冷静な考えを取り戻すことが出来るのかなと。

川瀬敦士 医者の言うことだと家族も理解できるというのもよく聞きますね。診察室で説明してもらって、うまく介護サービスと連携していきたいですね。

 

ケアマネ放置

川瀬裕士(川瀬・医師) 次の例もよくありますが、本人が通所サービスを嫌がっているけど、家では何もしていないので家族は行かせたいというケースです。だけど、ケアマネさんは、「本人が行きたくないと言っているからいいですよね」と言って、それで終わって、ずっとそのまま。診察室では、患者さんはやはり、「(通所サービスは)何かいやだなあ…」とか言って、家族は、「このまま何もしないで家にずっといるとダメになってしまうので、そういうところに行かせてほしいです」と言います。「とりあえずダメ元でもやってみましょう」とか、「時期を変えて場所を変えて、もう一回やってみましょう」とかいろいろ家族と話しをしますが、「ケアマネさんがなかなかそうしてくれなくて…、どうしましょう?」というような例です。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ケアマネージャーさんに聞いてみましょう。原さんいかがですか?やっぱり本人の意思を尊重するのですか?

原知子(居宅A・CM) 放置はしないですよ。私もケアマネを始めたばかりですが、私の最近持ったケースで、本人は家から出たくない、でも家族(夫)はデイサービスを利用させたい(と思っている)、「本当にお願いします」と。2~3回位、訪問させてもらって、本人と話をする機会を持ちまして、家族には別室にて待機していてもらって、距離を縮めるというわけではないですが、本人様と話をして。そうしてデイサービスの話を切り出したら、近所の方が行っていると聞いたようで、「そこのデイサービスだったらちょっと行ってみようかな」と言ってくださって、「お試しで1回位行ってみますか?」と話をしたところ、「近所の人がいる日であれば行きます」と言ってくださいました。


居宅介護支援センターつかのめの里 介護支援専門員 原 知子 氏

川瀬裕士 (ケアマネとしては)理想的な手本ですね。

川瀬敦士 本人はよく分からないで嫌だと言っている人はたくさんいるわけだから、これはよくあるケースなんだろうと思いますが。放置というパターンもあったということなんですね?

川瀬裕士 この話も家族の方が言っていたことなんですが、他にも家族がケアマネさんに不満を持っている人はいて、でもやっぱり言えない様ですね、それを。はっきりとは言わないんですよね。家族が望んでいないケースは、中々ケアマネとして勧めるのが難しいこともあると思いますが、少なくとも家族が利用してもらうことを望んでいるのに、ケアマネに十分に協力してもらえないというのはもう少し何とかしてほしいですね。家族には「ケアマネさんに直接思っていること伝えましょう」としか言いようがありませんが。原さんの例もうまくできた方だとは思うけど、うまく行かないケースもたくさんあるかもしれないですよね。

川瀬敦士 佐藤さんいかがですか?

佐藤雄一(居宅A・CM) 実は、以前に関崎さんから放置はいけない事だと学ばせていただきました。ヘルパーさんに対応を任せようとしたら、「あなた行ってきなさい!ダメだよ」と言われたことがありました。周囲で「ケアマネが放置しているのでは」という話を聞くこともありますが、そこはアプローチの問題で、自分一人でそれを抱えているのではなくて、例えば事業所内でそれを話したり、例えば私だったら時々坂井(看護師)さんに手紙を出したり、やはり外に解決策を求めていく努力をしないと、事業者さんにも先生にも「何してるんだろう?」と思われるかもしれませんね。


在宅介護支援センターつかのめの里 介護支援専門員 佐藤雄一 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) ケアマネさんは、その人の人生、その人の家族がハッピーになるかそうでないか、ものすごい大きなカギを握っている様に思いますね。プレッシャーをかけるようで申し訳ないですが、良いケアマネさんが付けば、認知症でもすばらしい家庭生活だし、そうじゃないとちょっと悲惨な感じがするような気がします。外から見ているとね。

佐藤雄一(居宅A・CM) 逆に最近拒否する人は、みんなお試し利用を簡単に受けてくれますので、逆にハードルが下がって、お試しで来て「ダメだ」で終わりになってしまうことは結構あるのかなぁと思います。

川瀬裕士 よくありますね。お試しでダメだったからもう諦めて、それ以降は動いてません。でもそれももうずっと前みたいなね。

佐藤雄一 なのでそのような人がいて、契約をしてしまって、正式利用をデイサービス事業者へお願いして、どんなに拒否しても2カ月続けさせてくださいとお願いしました。

川瀬裕士 そういうような話合いをした上でね、何か対策、作戦を練ってするといいですよね。みんな本人の声を聞けば「行きたくない」って言いますが、最初は「行きたくない」って言っていても、後々「それが生きがいです」と言う人はいっぱいいます。そこを上手く伝えていかなければいけないと思います。そういう例を皆さんもたくさん見ていると思いますので。

川瀬敦士(川瀬・リハ) そういう人には是非出て行ってもらって、利用して人と関わっていただきたいと思いますね。お試しした人が(正式に)つながる成功率みたいなことは樫の森ではどうですか?事前に情報収集したりするわけですよね。この人はどういう人かなど。お試しも工夫してやっているのですか?

石川雅子(川瀬・介) お試しの時は、樫の森では週替わりでプログラムがありますので、映画を見るとかだとなかなか活躍の場が作れないことはあるんですが、例えばお料理を作るだとか、ゲーム、レクリエーションみたいな時は、おおむね優勝していただくように、様々に配慮いたしましてご活躍していただき、「さすが〇〇さん!またお待ちしております!」という感じでお帰りいただくようにしております。


川瀬神経内科クリニック 介護職 石川雅子 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) その人が活躍できるような仕掛けを作ってね。

石川雅子(川瀬・介) もちろんです。

川瀬敦士 他に何か工夫していることはありますか?

石川雅子 出来る時と出来ない時がありますが、なるべく、ご家族の話はご家族の話を聞くスタッフが付き、ご本人には別のスタッフが付いて話を聞くようにしますかねぇ、可能であれば。ご本人だけの時はもちろんご本人の話をたくさん伺うようにしますが、例えば(お試し利用の時に)奥様が対象の認知症の方で、旦那様と息子夫婦と、孫も抱いてきた場合、ご本人もご家族と一緒だとご本人のしゃべる機会がほとんどなくなってしまって、だいたいご家族の方が、「いいところですね」と言って帰っていく感じになるので、まずご本人と付き添いの方をだいぶ離してそこからスタートという感じでしょうかね。

川瀬敦士 布施さんどうでしょうか?

布施良友(川瀬・介) 通所リハビリ施設に勤務していますが、拒否のある人に対しては、かわせみ(通所リハビリ)はクリニックとつながっていますので、診察には拒否なく来られるという方は、そのまま待ち時間にちょっとデイケアの方に見学に来ていただいたりしながら、体験利用などにつなげているんですけど。特に家族は行かせたい、本人は嫌がる、ケアマネ放置っていうところで、最近あったのが、本人は本当に嫌なんだけど診察の帰りだったらついでだから寄っていくと。それで一回、当施設の送迎車で迎えに行きましたが、やはり送迎車だとダメで、奥さんと一緒に出かける分には問題ないという事で、最初は診察の日だけでしたが、慣れてきてからは、ケアマネさんを通じて、「奥さんと一緒に出かける準備をしていてください」とお願いして、奥さんも一緒に身支度を整えて、旦那さんも一緒に支度をして、そして迎えに行ったら旦那さんを先に乗せて、奥さんが乗る前にドアを閉めてそのまま発車。旦那さんは乗ってしまうまでは出かける準備を奥様としていますので、出かける気なので、車に乗るまでは全く問題なかったです。慣れてきて良かったのですが、しばらくしてから迎えに行った送迎スタッフから「今日は行かないと言って出てこないんです」と。それが2~3回続いて、奥さんに連絡して確認したところ、奥さんがどうやら慣れてしまって出かける準備をしていなかったことがわかりました。そこで再度ケアマネさんにそれを戻して、ケアマネさんがすごく親身になってつないでくれたので、また再度以前のように奥さんが出かける準備をしてくれるようになり、乗ってくれるといったことがありました。すごくケアマネさんに感謝しています。施設の求める対応も飲んでくれたし、それをそのままご家族様にもつないでくれたので、良い対応ができたかなと思います。

渡辺美佳子(川瀬・CM) 質問させてください。そのケアマネさんは、かわせみ(通所リハビリ)を使うのは初めてですか?

布施良友 初めてでした。自宅に知らない人が来るとご本人様が怒ったりすることがあるようで、担当者会議も自宅ではなくかわせみ(通所リハビリ)で開催することもありました。ケアマネさんがご家族と一緒にかわせみに来てお話することもありました。すごく柔軟な対応をしてくれました。


川瀬神経内科クリニック 介護職 布施良友 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) 皆さん、いろいろありますね。今回は家族の求めるものとケアマネさんの対応のギャップなのかと思います。ケアマネさんも経験値がそれぞれあって、佐藤さんが先輩の関崎さんに教わったように、こういう経験をしていないとそういう手立てに結びつかなくて、結局放置せざる負えない状況になったのかもしれません。ケアマネさん同士でも先輩から後輩に伝えることによってどんどんいろんな方法が広まっていくと良いなと思いました。

関崎敦子(居宅B・CM) ただ何らかの必要性があって介護認定を受ける訳じゃないですか。介護認定を受けるのはサービスが必要なので受ける。「どうにかしてよ!」「助けてよ!」っていう信号を発信しているわけだから、そこでケアマネが放置という事はまずあり得ないかなと思います。

川瀬裕士(川瀬・医師) 要介護、要支援でずっと認定を持っているのに、全くサービスを利用していない人も多いですよ。家族がケアマネさんの名前も顔もほとんど認識していないという感じの人も…。

坂井美和子(川瀬・看) ケアマネ放置というよりは介護認定が下りてもケアマネが決まっていないのかも。

川瀬裕士 そのケースもありますが、やはり放置されているケースも実際にありました。何度か直接ケアマネさんに連絡をしたこともありました。支援であればその地域の包括は認識しているわけですし。

 

上手な関わり方

川瀬敦士 次にいきたいと思います。次に事例はリハビリ科です。皆川さん説明お願いします。

皆川尚久(川瀬・リハ) 70代の中等度の認知症のある女性の方です。娘さんが時々、お母さんの様子をお昼頃に見に行っています。忙しい仕事の合間に、お母さんのトイレ誘導をする為、よく喧嘩するようでした。本人は直接的な言い方で言われると嫌がって機嫌が悪くなっていました。そこで優しく声をかけたり、さりげなくトイレに誘ってみたりしてはどうかと、なるべく穏やかに対応するように心がけるようと提案させていただきました。その結果、後で娘さんから以前よりもスムーズにトイレ誘導できたとのことでした。


川瀬神経内科クリニック 作業療法士 皆川尚久 氏

 川瀬敦士 これも非常にうまくいった例というか、関わり方を知らなかったというか、その辺は現場でお伝えして、やれるようになったことはすばらしいですね。埋められるギャップもあるという事でちょっとほっとしますね。

 

本人の希望通り=本人のためになること?

川瀬敦士 次の事例に行きたいと思います。若林さん紹介してください。

若林久美子(川瀬・介) 送迎時、お迎えに行っても準備が出来ていなくて、ご家族、娘さんですが、「朝は起きれないんです。起こすのがかわいそうです」、「なかなか起きれないので迎えに来る時間を遅らせて下さい」と要望が出ました。「本人がかわいそうだ」と言って、本人の言う通りしてあげているようですが、我々スタッフとしては朝起こしてあげた方が本人のリズムが出来て良いんじゃないかなと。家族はやさしくするというか、その人の言う通りにすることがその人の為になると思っているようですが、我々スタッフとしてはその辺を突っ込んでもっとこうするべきじゃないかと考えた一例です。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 原島さん補足はありませんか?

原島哲志(川瀬・介) 自分の子供だったら学校行くときに寝坊していたら起こしますよね。それと同じ感覚かなと思います。また送迎車が迎えに行く時間は朝の6時、7時じゃないわけですから、9時、10時の間くらいなので、普通であればもう起きている時間帯です。

川瀬敦士 そっとしておきたいというご家族の思いの背景には無理をさせると身体的に不健康になってしまうとかあるのでしょうか。あるいは介護サービスを利用するメリットについてあまり理解されていないのでしょうか?

若林久美子 サービス利用はむしろ増やしたいと思っているようですが、「いつも8時位まで寝ていますが、通リハの日はそれよりも少し早く起こさなければいけないので、すごく眠そうで辛そうです」と言います。

 

家族が服薬管理をしてくれない

川瀬敦士 ここまでで、薬剤師の山寺さん何かありますか?

山寺忠之(薬局・薬) 感想ではなく、事例が一つありましてご相談させてもらえたらと思います。80代の女性でレビー小体型認知症と診断されている方がいらっしゃって、残薬が非常に多くて、お宅に訪問して居宅療養管理指導を行っております。長男さんと2人住まいで、お薬の管理について聞くと、たぶん患者さん本人ではお薬は管理出来ないはずですが、長男さんは患者様にお薬を渡しっぱなしで、それを薬局が入ってうまく管理できるようにしたいなと思ってはいるのですが、長男さんは、「なんでお薬を管理しないのですか?」とこちらから尋ねても、「本人が怒るから」と言ってそこにうまく介入してくれません。薬局からもいろんな管理の方法を提案しているのですが、それを実行に移すことが出来ないのです。二週に一回訪問をしているのですが、何の進展もなくて。何か良い方法があればと思います。それもギャップではないかと思います。


メッツ嵐南薬局 薬剤師 山寺忠之 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) 確かに非常によくあるパターンですけれども、長男さんで、(同年代の)配偶者ではないので、本来であればそこは理解してもらいたいのですが、よほど理解できないような私的な問題があるのでは無ければ、理解してほしいですよね。本人は当然認知症だから薬を飲んでいるわけで、自分で管理出来ないので。

山寺忠之(薬局・薬) 注意するとご本人がすごく怒るそうです。それで手を出さないそうです。

川瀬裕士(川瀬・医師) 薬を(家族に)渡してくれないっていうのは、夫婦のパターンでも結構あります。認知症があるから本人に管理させてはいけないということを分かっているが、管理したいけどさせてもらえない。すごく理解がある家族の場合は、偽薬を使って、これだけは管理させて、他の実薬を溶けるものにして食事と一緒に入れて家族管理にして、(本人には)分からないようにして飲ませてもらうということもあります。本人には偽薬の方をしっかり管理してもらいます。そういう方法もありますが、この方法はご家族がかなり協力的で、理解してくれる人じゃないと難しいです。

渡辺美佳子(川瀬・CM) 質問があります。そもそも居宅療養管理指導を入れてほしいと相談があったのはどなたからでしょうか?

山寺忠之 私がいない時に始まった方なので、あまりよく知らないのですが、残薬を毎回薬局にお持ちになってこられていたので、たぶん薬局からの提案したのではないでしょうか。

渡辺美佳子 薬局の方が、ご家族に提案されたのですね。ケアマネの介入はありますか?

山寺忠之 あります。

川瀬裕士 ケアマネさんはどう捉えているのでしょうかね?

山寺忠之 一応、報告書は毎回提出していますが、特にそれに関して何かコメントはありません。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ケアマネさんの立場から、こういったケースにどう対応してくべきか?川井さんいかがですか?

川井美智子(包括・CM) 薬局さんから発信しているので、その状況を共有して、一緒に解決してほしいと思います。

川瀬裕士 ケアマネさんは、老老夫婦の家庭などで、服薬管理が出来ているか出来ていないかに関しては、意識して見ているポイントなんですか?

川井美智子 もちろんです。

川瀬裕士 服薬管理が出来ていないケースはたくさんありますね。

渡辺美佳子 だからケアマネさんからなのかなと思ったのです。ケアマネさんから薬局の方に相談したのかなと思いました。長男さんは必要性を感じていないのかなと思いますが…。

川瀬裕士 薬局さんからの提案かもしれませんね。

関崎敦子(居宅B・CM) 居宅療養管理指導はケアプランに位置づけられているものなので、うまく行っていないのであればケアマネは何らかのアクションを起こすはずです。

川瀬裕士 ということは、ケアマネさんは薬局さん任せているのですね。

山寺忠之 あの手この手でいろいろと提案するのですけど。

関崎敦子 服薬管理が出来ていないというモニタリングがあれば、次の何かをやらなければいけません。じゃあどうする。居宅療養管理指導が入っている。息子もいる。もうちょっと長男さんにケアマネが働きかけるとか、再度、薬局さんからケアマネさんにフィードバックしてみてください。

山寺忠之(薬局・薬) 我々もケアマネさんへ報告書を送るだけで、ちゃんとコミュニケーションを取っているわけではないので、こちらにも問題があるのかもしれません。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 書面だけでは、ニュアンス、重みが伝わりにくいですからね。

山寺忠之 こちらからケアマネさんに提案してみます。

関崎敦子(居宅B・CM) そうです。「いろいろと長男さんに提案していますが、できません。ケアマネさんどうしましょう?」って言ってみてください。

川井美智子(包括・CM) あとは、一緒に訪問して、その場面を共有するとかですね。

川瀬敦士 それは良いですね。

川瀬裕士(川瀬・医師) ずっとその状況が続いていること自体、良くないですね。

 

まとめと感想

川瀬敦士 一般社団法人全国訪問看護事業協会から出ている「認知症の方を介護するご家族のためのガイドブック こんなカン違いや思い込みしてませんか?」というものがあります。カン違いや思い込みのせいで結構ギャップというかズレが生じているということで、よくまとまっている良い資料です。インターネットで誰でも無料で手に入れることができます。全部で13個の例が紹介されています。最後に皆様から感想をいただきたいと思います。

山寺忠之 今日初めて参加させていただきましたが、今後の服薬指導に活かせるような事ばかりで、もう少し認知症の方と介護しているご家族の方の関係について考えながらお話したいと思いました。ありがとうございました。

佐野隆樹(居宅B・CM) 今日はありがとうございました。いろんな事例を通して、自分自身まだまだ知らない事がいっぱいあって、もっと勉強させていただきます。よろしくお願い致します。

関崎敦子 ケアマネのいろんな事例を通して、ケアマネの立ち位置がどんなに大切かを改めて今日痛感させていただきました。ありがとうございました。

佐藤雄一(居宅A・CM) ケアマネの事例、ギャップの中で、ケアマネが知っている部分はかなりあって、それを外に出せてなかったり、つなげてなかったりすることがあるのだと思いました。訪問できるという強みがケアマネにはあるので、そこはつなげていく役割を担っているのだと改めて気付かせられました。ありがとうございました。

原知子(居宅A・CM) 先回も参加させてもらって、とても楽しかったので、今回も参加させてもらいました。経験したことのないような事例を聞かせてもらいまして、すごく勉強になりました。佐藤さんにも教えてもらいながら頑張っていきたいと思います。

A(特養・介) 今日はありがとうございました。在宅での事例が割と多かったんですが、似ているなとか、そういうことありますよね、といった事がすごく沢山あって、今後に活かしていけたらいいなと思いました。ありがとうございました。

川井美智子(包括・CM) 今日はありがとうございました。地域包括支援センターでは、幅広くご相談をお受けしていまして、皆様にお願いすることも沢山あって、いつもありがとうございます。中には、もう少し早く対応すればよかったと思う事もあって、今日は放置という言葉にドキッとしました。気を付けていかなければいけないと思いました。そういう患者さんがいましたら是非教えて下さい。よろしくお願い致します。ありがとうございました。

須藤新次(GH・地域) 今年の4月からやっております。今日は簡単な事例でしたがギャップを3つ感じました。①認知機能の低下とパーソナリティーというギャップ。②家族のホープと本人のニーズ。③啓蒙活動はしているもののまだまだ理解不足なんだなというギャップを推進員として感じたところです。特にこの前川瀬さんの認知症カフェを見学させてもらいましたが、認知症カフェの活動とかを通して、介護家族、家族のパーソナリティーを健康なうちから私たちは把握して、要介護状態になった時にもパーソナリティーと健康な時を知った上で、介護の支援をしていけたらとてもいいかなと思って感じたところです。これから推進員として、認知症カフェの活動等もケアマネの方々へどんどん伝えていきたいと思っています。12月には包括さんにカフェ連絡会議に来ていただく予定になっていますので、そのような活動を通して地域全体を支えて行ければと思っております。また機会がありましたら参加させていただきたいと思います。今日はありがとうございました。

皆川尚久(川瀬・リハ) 今日はありがとうございました。訪問リハビリに行った際にご家族よりケアマネさんに言っていない内容をお聞きすることがありますので、ご家族の思いをくみ取って、ケアマネさんや施設の方へフィードバックしていければと思います。今日はありがとうございました。

石川雅子(川瀬・介) 仕事では今日も帰りたいというお婆ちゃんと一緒に何十分でも何時間でもずっと話をそらしながら、怒ることなくずっと過ごして一緒にいられますが、やはり身内のこととなると全く違って、うちの母も今、なかなか進んできているところですが、やっぱり頭では分かっていても、つい怒鳴ってしまうというか、抑えられなくてイライラしてしまいます。同姓だからなのか、諦めたつもりだけど割り切れていないところがあるのか分かりませんが、そういう思いを今やっと経験しながら、仕事にももう22年になりますが、違ったところの視点を見つけていいければと今毎日思っています。またお世話になりますので、よろしくお願い致します。

原島哲志(川瀬・介) 今日はありがとうございました。本人が一番安心して生活できることが、周りのご家族、関わっている方も含めハッピーなことだと思います。なるべくそこに貢献できるようしていきたいと思います。

渡辺美佳子(川瀬・CM) 今日はありがとうございました。一口にギャップと言ってもいろんなものがあるのだと今回改めて学ばせていただきました。やはりケアマネとしてどうしてもケアプランを立てる時に、特に認知症の方ですと、ご家族の思いとかによってしまう事が常々ありますが、あくまでもご本人様がどういう生活を送りたいのかというところを改めて意識をして、ご本人がご本人らしく生活するためにもご家族はすごく大事ですし、ご家族が健康で幸せでないと良いケアは出来ないと常々感じていますので、そういったギャップが生じているのはそこだけではなく、背景とかにも十分に目を向けるようにしていきたいと思いました。ありがとうございました。

若林久美子(川瀬・介) 住宅の方に務めておりますが、入居者の方々とは第二の家族のような気分で接していて、通所リハビリに務めていたころとは違った部分が見えてきます。家族として、入居した頃よりもずっと進んできており、この方に安心してもらうにはどうしたら良いのかとか、いろんなことを考える機会があるのですが、自分側からのこれが良いだろうではなく、その方が本当に安心するには何が必要かを考えながらしなくてはいけないと思っております。ありがとうございました。

布施良友(川瀬・介) ご家族に分かってもらうことは難しいと思いましたし、同時に介護させているご家族の中には非常に良い対応されている方が大勢いるのだと思いました。そういった方に寄り添っていけるような対応を出来るところからやっていこうと思いました。ありがとうございました。

坂井美和子(川瀬・看) 今日はありがとうございました。日頃外来で皆さんと関わらせていただいて、非常に連携がとても大切だと日々思っています。介護認定がおりて、ケアマネさんをすぐに引き受けて下さって必要なサービスにつなげていただいたり、服薬管理が出来ない場合でも、居宅療養管理指導に入っていただいたり、でもやはり連携というか、顔が見える関係がとても大切だと思いますので、またこういった機会に参加していきたいと思います。ありがとうございました。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ありがとうございました。皆さんのおかげで密度の濃い研修会になったと思います。お疲れ様でした。